出版市場は近年、右肩下がりを続けています。小説は読まれず、雑誌も発行部数の減少が止まりません。唯一「売れ筋」と言えるのは、実用書やビジネス書、医療・健康書など読者にとって即メリットになるジャンルです。なかでも、企業が出版資金を出し、ブランディングの一環として書籍を作り上げていく「企業出版」には、各社が参入し、盛り上がりを見せています。果たして、この新しいビジネスモデルは、「斜陽」と揶揄される出版業界の救いの手となるのか? 企業出版のパイオニア、株式会社幻冬舎メディアコンサルティングで取締役を務める佐藤大記氏に話を聞きました。

書籍の出版はゴールではなく、スタート

企業出版と自費出版の違いの2つ目は、書店流通に対する考え方です。もちろん、自費出版であっても一般の書店に流通する書籍はありますが、基本的には書籍が完成することがゴールであり、できあがった本を家族、親族、身近な人たち、会社経営者であれば社員や取引先などに配ることが目的になります。つまり印刷・製本して基本的に完結されるものです。

 

それに対して、企業出版は印刷・製本してからが始まりになります。書籍が書店にならぶ流通がゴールではなく、流通がスタートなのです。この流通の具体的な内容は次回以降に詳しくご紹介しますが、弊社の場合、出版の2カ月前にはプロモーション部や流通管理部という部署がプロジェクトに加わります。クライアントによって事業が違い、商圏エリアも違いますから、全国のどういう地域に重点的に配本するか、新聞広告はどうするかなどを俯瞰して戦略的に出口戦略を固めていきます。そこの絵を描くことが重要になります。

企業出版は自己顕示欲を満たすものではない

プロモーション部はパブリシティ戦略も練ります。新聞や雑誌、テレビ、ウェブなどどういう媒体に取り上げてもらうかなど、地味ではありますが、より多くの読者に本を知ってもらうための活動を展開します。

 

したがって、クライアントに本を出してよかったと感謝していただけるのは、出版後早くて1カ月後、多くの場合は2~3カ月後に効果が出てからになります。自費出版のように書籍が完成して、「おめでとうございます」では終わらないのです。

 

企業出版は自己顕示欲を満たすためのものではありません。企業経営者の中には、自分の出したい内容の本を作ってほしいという人もいます。たとえば、立身出世物語が典型です。そのような書籍を出すことが企業の課題解決につながる場合は制作することもありますが、基本的には異なる切り口を提案することが多くなります。

 

ミリオンセラー、ベストセラーを生み出す幻冬舎独自の出版ノウハウをクライアント企業に当てはめることによって、企業の「伝えたい」想いを読者の「知りたい」内容に変換します。読者が本当に知りたい「そんな話があるのか!」という感動の輪を広げていくことが企業出版に他なりません。

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