出版市場は近年、右肩下がりを続けています。小説は読まれず、雑誌も発行部数の減少が止まりません。唯一「売れ筋」と言えるのは、実用書やビジネス書、医療・健康書など読者にとって即メリットになるジャンルです。なかでも、企業が出版資金を出し、ブランディングの一環として書籍を作り上げていく「企業出版」には、各社が参入し、盛り上がりを見せています。果たして、この新しいビジネスモデルは、「斜陽」と揶揄される出版業界の救いの手となるのか? 企業出版のパイオニア、株式会社幻冬舎メディアコンサルティングで取締役を務める佐藤大記氏に話を聞きました。

高額商品で説明責任が求められる業界

企業の多くが「新規顧客開拓(集客強化)」「人材採用」「企業の認知度アップ」「商品・サービスの認知度アップ」「競合他社との差別化」などの経営課題を抱えています。企業出版の最大の目的は、各企業が頭を悩ませる、そうした課題を解決に導くことにあります。企業出版が具体的にどのように役立つのか。今回は「企業および商品・サービスの認知度アップ」について説明したいと思います。

 

「企業出版の認知度アップとは、狙った顧客に確実に届けるということです」 幻冬舎メディアコンサルティング 取締役・営業局長 佐藤 大記氏
「企業出版の認知度アップとは、狙った顧客に確実に届けるということです」
幻冬舎メディアコンサルティング 取締役・営業局長 佐藤 大記氏

企業出版では、大きく6つの業界が主要なターゲットで、企業出版の効果が最大限に期待できる分野ということで絞り込まれてきた業界です。具体的には、「不動産」「金融・投資」「士業」「医療・介護」「教育」「B to B」です。

 

この6業界にはいくつかの共通点があります。まずは、いずれも高額商品を扱い、かつレッドオーシャンの市場で、し烈な競争を繰り広げている業界ということです。

 

次に、高額商品であるがゆえに、消費者や顧客に対する説明責任が一般的な商品に比べて厳しく求められるということです。対応を誤ると消費者や顧客との間で大きなトラブルに発展する可能性があるので、特に現場の営業では注意が必要で、慎重を期さなければなりません。

 

また、営業が属人的になりやすいことが挙げられます。扱うのが高額商品のため、顧客や消費者と1対1で向き合ってじっくり話をする必要があります。企業出版で書籍を作る企業の大半は、大企業でも上場企業でもなく、9割5分は中小・零細企業で、個人経営者も多くいらっしゃいます。そのため社長1人で営業をしたり、一握りの優秀な営業マンに依存しているケースが少なくありません。同じ商品を同じ相手に販売するにしても、A営業マンなら受注が取れるけれど、B営業マンだと取れないということが起きやすいのです。

 

さらに、これらの業界ではよくセミナーを開催しますが、講師も営業マンもその日のコンディションの良し悪しがあるため、常に100%の状態で契約に結び付く説明ができるとは限りません。

商品やサービス内容を伝える最強の「営業ツール」

これらの問題を解決するのにも、企業出版は非常に適しています。書籍には商品やサービスの内容が詳しく書かれていますから、顧客(読者)に誤解を与える可能性は極めて低くなります。営業マンの能力やコンディションに左右されることもなく、常に100%の状態で自社の商品やサービス内容を正確に伝えることができます。書籍は最強の営業ツールといえます。

 

一方で、消費者や購買者の側から見てみるとどうでしょうか。上記の6分野の商品やサービスは、その違いが素人にはわかりにくいという共通の特徴があります。たとえば、弁護士事務所やクリニック、学習塾などはたくさんありますが、A、B、C、Dの弁護士事務所のうちどこが一番よいのか、同じ眼科クリニックでもどのクリニックが信頼できるのかはわかりません。判断材料が乏しいため、どれも同じに見えてしまうのです。

 

それは企業側も同様で、自社の特性や優位性、オリジナリティを伝えることに苦労しています。立派な会社案内やホームページを作って、商品やサービスの説明はできても、それだけでは訴求力としては弱い。その商品やサービスの背後には、必ず経営理念や経営者の思想、信条などのバックボーンがあるはずで、それを伝えたいと思っても、そうした目に見えないものを可視化するのは非常に困難なのです。

認知度アップは広く世の中に知れ渡るだけではない

その点で書籍は、自社の商品やサービス、スキームに加え、そのバックボーンを伝えるのに非常に優れています。1冊の書籍の中に8万~10万字の凝縮されたコンテンツが内包されているからです。

 

書店に足を運ぶ人は、問題や悩みや課題を抱えています。そして、それらを解決したいと願っています。企業出版で作った書籍は、そんな読者を書店の売り場で待ち構えています。そして出合う。書籍を自費で買う人は問題意識が高いので、内容を真剣に読み込みます。その結果、アクションにつながります。なぜなら、本を読めば読むほど、読者の問題解決の具体的な手段として、書籍の著者である企業、商品やサービスにたどり着くように作られているからです。

 

そして、そういう読者が増えることで、クライアント企業の認知度、商品やサービスの認知度がアップしていきます。ここで一つ注意していただきたいのは、一般に認知度アップというと、企業の名前や商品が広く世の中に知れ渡ることだと理解されていると思いますが、企業出版での認知度アップは意味合いが異なります。

狙った顧客とつながることが真の認知度アップに

企業出版でいう認知度アップとは、広がりというよりも、絞り込みに近いものです。しかるべきターゲット(顧客)にきっちりリーチできる、と理解していただくほうが適切だと思います。広く世の中に知らしめるのではなく、狙った顧客に確実に届けるということです。

 

企業出版はマスマーケティングではなく、セグメントされたターゲットマーケティングに他なりません。魚群探知機で狙った魚種の群れを見つけてすくい上げるイメージです。魚ならなんでも捕りにいくわけではありません。

 

狙った顧客から受注を得て、それが増えていけば、クライアントにとってそれは自社の認知度、商品やサービスの認知度アップにつながると考えています。

 

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