日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、不動産にまつわる相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。
解説:不動産を相続する、という遺言書だけでは不十分
A美さんは法定相続人ではありません。相続人でない人に対して「相続させる」ことは法律上できないので、正しくは「遺贈する」といいます。
さて、今回、祖母は遺言書を残していますが、その遺言書に「A美に不動産及び家財一式を遺贈する」と書かれていれば、家財もA美さんの物なので間違いなく窃盗になります。しかし「A美に不動産を遺贈する」としか書かれていない場合、Bさんが「家財は相続人が相続するべきだ」と主張すれば、A美の物ではなく、相続人の話し合いで分け方を決めることになります。
また祖母の残した不動産の評価次第によっては、相続税の申告が必要になったかもしれません。その場合、家財の評価額も算出し、相続税の計算に含めなければいけませんが、一般的に、使い古した家財に市場価値はほとんどないので、家財一式3万~5万円で申告することが多いようです。
しかし相続開始直前に購入している場合には、クレジットカードなどの履歴から購入金額が追えるので、きちんと家財の金額も算定したうえで申告しないと、税務署から指摘される可能性はゼロではありません。
そもそも、今回Bさんは勝手にA美さんの家に侵入しました。弁護士の専門分野ではありますが、身内であっても住居侵入罪が適用されるのではないかと思います。
【解説者が「土地の相続税評価額の計算方法」について動画で解説】
橘慶太
円満相続税理士法人
円満相続税理士法人
代表 税理士
大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(法人税法の公開模試では全国1位)し、大学卒業前から国内最大手の税理士法人に正社員として入社する。
勤務税理士時代は相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手掛けた相続税申告は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算400件以上。また、銀行や証券会社を中心に、年間130回以上の相続税セミナーの講師を務め、27歳という若さで管理職に抜擢される。
2017年1月に独立開業し、現在7名の相続専門税理士が在籍する円満相続税理士法人の代表を務める。週刊ポストや日本経済新聞、幻冬舎、女性自身など、様々メディアから取材を受けている。また、自身で運営しているYouTubeのチャンネル登録者は6万人を超えており、相続分野では日本一のチャンネルに成長している。
円満相続税理士法人:https://osd-souzoku.jp/
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