日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、不動産にまつわる相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

祖母の思いが叶い、自宅はカワイイ孫のものに

「祖母から相続の話を聞いたときは、私は17歳で。相続なんて小説の中で出てくる話と思っていたので、びっくりしました」とA美さん。負担を感じて、祖母からの申入れを一度は断ったそうです。しかし祖母からの熱心な説得が続き、最終的にA美さんは決心しました。

 

その後、A美さん18歳のお正月。祖母は、集まった子どもたちの前で、相続があったときの話をしました。遺産は自宅と預貯金のみ。預貯金は2,000万円ほどあるから、子どもたち3人で均等に分けるように。そして自宅はA美さんが相続するように――。

 

この話を初めて聞いたとき、A美さんの伯父であるBさん、Cさんはもちろん、母であるD子さんも驚きの声をあげたそうです。

 

「なんでA美に家を? 孫に自宅を相続する、というところまではいいけど、孫は6人いるだろう。A美だけ、というのは不公平なんじゃないか?」

 

祖母の話に異議を唱えたのは、BさんとCさんでした。確かに、不公平に感じるのは当然だったかもしれません。それに対し祖母は、自分の思いをゆっくりと話始めました。

 

「あの家は、お祖父さん(=祖母の夫)のご先祖様から継いだものだから、この先も大事にしてほしいの。この中で本当に大切にしてくれるのは、A美だと思うの。それに今でも毎日のようにお見舞いに来てくれて。何か遺したいと思うのは、ヘンなことかしら」

 

A美さんが近くにいたから、祖母が入院しても安心していられたのは事実。BさんもCさんも、これ以上反論することはありませんでした。

 

それから半年後、祖母は亡くなりました。

 

「祖母が亡くなったとき、私は東京の大学に進学していたので、以前のように祖母の家に行く機会も減っていました。でも遺言書も残してくれていたので、相続はスムーズでしたよ。未成年だった私は、手続とか、管理とか、全部、親まかせでしたけど」

 

A美さんが驚いたのは、祖母が亡くなったあと、久々に祖母が遺した家を訪れたときのこと。祖母とA美さんが暮らしていたときは、冷蔵庫や洗濯機、テレビなど、家電はすべて十年以上も前のもの。典型的な“田舎のおばあちゃんの家”でした。しかしA美さんが見たのは、すべてが最新家電だったのです。

 

A美さん「おっ、お母さん、何これ?」

 

D子さん「お祖母ちゃんが、家電が古いままだったら、A美も暮らしにくいでしょって。だからすべて一新してから、A美に相続しようって、お祖母ちゃんが」

 

思いがけない祖母からのプレゼントに、A美さんは、涙が止まりませんでした。

 

 

次ページ久々に相続した家を訪れたら…なに、この違和感は!?

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    ※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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