日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、不動産にまつわる相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

久々に相続した家を訪れたら…なに、この違和感は!?

ただ、めでたしめでたしで終わらないのが、相続の話。問題は、A美さんが大学2年生の夏。休みを利用して、相続した家に遊びに来たときのことでした。九州の田舎に、祖母から相続した家があることを大学の友人に話したところ、「行きたい! 行きたい!」と大盛り上がり。A美さんは家を掃除して友人を待とうと、先に九州にやってきていました。

 

「やっぱり空気が美味しいわぁ」と、久々に訪れる大好きな田舎に、ウキウキしていたA美さん。鍵をあけ、誰もいない家に向かって「ただいま!」と行ったとき、違和感を覚えました。

 

「あれ!?」

 

最初、違和感の正体は分かりませんでしたが、部屋をまわって確認していくと、その正体が分かってきました。

 

「テレビがない!」

 

「冷蔵庫もない!」

 

「んっ、掃除機も」

 

「えっ、ドライヤーまで!?」

 

祖母がA美さんのためにと揃えてくれた家電がすべてなくなっていたのです。A美さんはワケが分からず、まずは母に連絡をしましたが、もちろん母も「はっ、何言っているの?」とA美さんと一緒に大混乱。そのとき、A美さんのスマートフォンが鳴りました。伯父のBさんからのメールの着信音でした。

 

Bさん「ごめん、A美」

 

すぐに返信するA美さん。

 

A美さん「ごめんって何が?」

 

Bさん「家電もらったの、おじちゃんや」

 

A美さん「えっ、なんで?」

 

A美さんには謝るだけで理由を教えてくれなかった伯父さん。母を通じて、ギャンブルで損をしてしまい、その補填としてA美さんの家から家電を持ち出して売ってしまったという事実を知りました。

 

「鍵を変えるの、忘れてたぁー」とA美さん。祖母は何かあったらと、2人の伯父と母に鍵を渡していました。その事実はA美さんも知っていましたが、このときまで、特に気にとめることもありませんでした。

 

このあと、持ち出された家電がいくらくらいになるか、オークションサイトで調べたというA美さん。結果は、数十万円にしかならなかったそうです。

 

「あまりにしょうもない理由だけど、これって、窃盗ですよね。でも数十万円で親戚関係が悪くなるのも……。とりあえず、鍵はすべて交換しようと考えています」

 

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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