Case1:競合製品に背を向け独占市場を開拓!
●赤玉 父さんのまくら
大阪府にある赤玉という会社は、1901年創業の寝具製造卸売業です。同社社長の三原幸夫さんから、消臭スプレーのパッケージ開発の依頼をいただきました。消臭スプレーといえば、スーパーやドラッグストアに並べるのが一般的です。しかし、売り場は「ファブリーズ」や「リセッシュ」などの競合商品で溢れかえっています。まともに勝負を挑んでも、そう簡単に勝てるものではありません。
しかし、三原さんの発想はユニークでした。「消臭剤の用途を寝具用に特化する」というのです。なるほど、競合がひしめくスーパーやドラッグストアに背を向け、ライバルのいない寝具売り場で売り出せば、純粋に製品の質で勝負できます。
さっそく、あちこちの寝具売り場を確認してみました。布団や毛布、シーツなどの商品は、意外とカラフルなパッケージが多いことに気づきます。あるいはパッケージングせず、枕やふとんなどの色をそのまま見せて販売しています。
次に、来店するお客様を観察してみました。すると当然のことながら、主婦が多い。そして、主婦の「臭い」に関する悩みを調査すると、おもしろいことがわかりました。50歳を超えた主婦の多くは、お父さんの加齢臭に困っているというのです。加齢臭といえば、一番こびりつくのが「まくら」です。
そこで商品名を「父さんのまくら」とし、パッケージを「黒」一色にしました(【画像】「焼肉のたれ」、衝撃のビフォーアフター、参照)。「父さんのまくら」とネーミングすることで、お父さんの枕の臭いに困っているお客様へ、ストレートに特性を伝えることができます。「きっとこの商品が、毎朝の嫌な思いから解放してくれる」と気づいてもらえるでしょう。
また、パッケージの色に「黒」を採用することで、寝具売り場でとても目立ち、お客様の目に飛び込みやすくなっています。
「消臭スプレーの価値は消臭すること」という常識の枠を取り払い、お客様の視点から商品を見直す。「自社が提供できる価値」ではなく、「ユーザーが得られる価値」に切り替えるということです。