「いつも話の後に、話した内容を誤解されることが多い」という方は、圧倒的に説明が足りないことがあります。言葉の誤解がなくなるように、きちんと補足すべきです。
例えば私の現場で典型的なのは、「良くなりますよ」と言うと、患者さんは「治る」と思われることが多いです。当たり前でしょう。けれども医療者は「良くはなる(けれども治らない)」と言っているかもしれません。これははっきり言わなければ決してわかりえないものです。「はっきり」と聞くと、何でも厳しく突き放すような言い方で……と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく相手の心情に配慮しながら、相手がわかる言葉で、真実を伝える……ということです。
他にも、言葉の選び方はとても大事です。最適な言葉を常に探しながら話してください。適切に言いかえることも重要です。
例えば、がんの患者さんで告知をすでに受けているからと「がん」「がん」と連呼する医療者が嫌がられるように、ネガティブな言葉をくり返し伝えるのは考えものです。この場合は「腫瘍が」とか「○○さんの病気が」とか言いかえることが可能です。
皆さんも「子供の体調が最近悪く、夫の給料も下がり、実母の介護もあったりで先行きが嫌になる」という悩みを抱えていたとする時に、「○○さんにとってのお気がかりは」と言われるのは良くても、「○○さんの不安は」「不安は」「不安は」と不安という言葉を連呼されるのは嫌なのではないでしょうか?
確かに「不安」なのですが、不安な方に「不安」「不安」と直面化させることはよりマイナスの方法へ思考を強化することになりかねません。
言葉の選び方と、それを伝える際の「非・準言語的」要素に十分注意してください。そうすれば「いつも話の後に、話した内容を誤解されること」が減るはずです。また重要なことはとりわけ、親切すぎるくらい、誰にでもわかるように丁寧に、平易な言葉で説明すべきでしょう。
「自分そのものが否定されているのではない」と捉えて
苦悩者の中には鬱屈(うっくつ)した思いが蓄積している方もいます。
すると援助者に対しても、ふとしたきっかけで怒りなどのネガティブな感情をむき出しのままぶつけられる方もいます。
その時の対処法です。
一番いけないのは、瞬時に同調することです。怒りに対する怒り、これは最悪です。「あなたのためを思っているのに!」……気持ちはわかります。けれどもこれを言ってしまうと収拾がつかなくなります。