「どうして、そう思われますか?」と聴いてみる
まず気持ちを受け止めます。応答します。
そして、「どうして、そう思われますか?」と聴いてみるのです。
「もしよろしければ、どうしてそのように思うのか伺ってもよろしいですか?」
くれぐれも詰問調、あるいは否定的なニュアンスで聴かないように、気をつける必要があります。ニュートラルな「非・準言語的」態度で、「教えていただきたい」という気持ちで聴くことです。
そして鍵となる言葉が出てきたら、さらにそれを深めてゆきます。
「だってもう役に立たないから」
「役に立たない、というのはなぜですか?」
「だって歩くこともできず、人の世話になってばっかりでしょう?」
「人の世話になっていることで役に立たないと思われてるんですね?」
「そうです」
「私はどうしたらいいんでしょうか?」
「どうしたら良いと思われますか?」
「それは……」
とつなげてゆくことで、自ら答えを見つけられるきっかけ、礎石は作れるかもしれません。もちろんすぐに答えが見つからない、場合によってはずっと見つからないこともあります。だからこちらもあせらず、対応してゆく必要があります。
「難しいですよね。でも私はどうしたら良いかが見つかると良いなと思っています。そのために何かできることがあれば何でもおっしゃってくださいね。聴くことしかできないかもしれませんが、何かお支えできればと思っています。一緒にやっていきましょうね」
ただこれが「聴くことしかできない」で終わらないのは、皆さんはおわかりだと思います。この作業を通じて、苦悩者自らがご自身でも深く掘り下げて考えてゆくことになるかもしれません。これはまさに「治療的対話」で「癒しの端緒」を提供しているすごい「傾聴」なのです。