もう死んだほうがいい…と落ち込む人にかける言葉の「最適解」

景気低迷、コロナ禍、少子高齢化・多死社会の到来…。悩み多き現代、心を健やかに保つには、周囲の人たちとの絆だけでなく「お互いを支える技術」が大切です。ここでは、医師として終末期医療、緩和ケアの第一線で活躍し、患者やその家族と深い信頼関係を築いてきた筆者が、相手に寄り添い信頼関係を深める対話術、「傾聴」を軸としたコミュニケーションスキルを紹介します。※本記事は、『傾聴力 相手の心をひらき、信頼を深める』(大和書房)から一部抜粋・再編集したものです。

「どうして、そう思われますか?」と聴いてみる

<Q> 答えにくい言葉(死にたいなど)を投げかけられた時はどうすればいい?

 

まず気持ちを受け止めます。応答します。

 

そして、「どうして、そう思われますか?」と聴いてみるのです。

 

「もしよろしければ、どうしてそのように思うのか伺ってもよろしいですか?」

 

くれぐれも詰問調、あるいは否定的なニュアンスで聴かないように、気をつける必要があります。ニュートラルな「非・準言語的」態度で、「教えていただきたい」という気持ちで聴くことです。

 

そして鍵となる言葉が出てきたら、さらにそれを深めてゆきます。

 

「だってもう役に立たないから」

 

「役に立たない、というのはなぜですか?」

 

「だって歩くこともできず、人の世話になってばっかりでしょう?」

 

「人の世話になっていることで役に立たないと思われてるんですね?」

 

「そうです」

 

「私はどうしたらいいんでしょうか?」

 

「どうしたら良いと思われますか?」

 

「それは……」

 

とつなげてゆくことで、自ら答えを見つけられるきっかけ、礎石は作れるかもしれません。もちろんすぐに答えが見つからない、場合によってはずっと見つからないこともあります。だからこちらもあせらず、対応してゆく必要があります。

 

「難しいですよね。でも私はどうしたら良いかが見つかると良いなと思っています。そのために何かできることがあれば何でもおっしゃってくださいね。聴くことしかできないかもしれませんが、何かお支えできればと思っています。一緒にやっていきましょうね」

 

ただこれが「聴くことしかできない」で終わらないのは、皆さんはおわかりだと思います。この作業を通じて、苦悩者自らがご自身でも深く掘り下げて考えてゆくことになるかもしれません。これはまさに「治療的対話」で「癒しの端緒」を提供しているすごい「傾聴」なのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
苦しみや悲しみに押しつぶされそうな人には…(※写真はイメージです/PIXTA)

早期緩和ケア外来専業クリニック院長
緩和医療専門医 

茨城県出身。岐阜大学医学部卒業。日本緩和医療学会緩和医療専門医、日本老年医学会専門医、総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、がん治療認定医。2006年度笹川医学医療研究財団(現・笹川記念保健協力財団)ホスピス緩和ケアドクター養成コース修了。

内科専門研修後、ホスピス・在宅・ホームなど、様々な医療機関で老年医療、緩和ケア及び終末期医療を実践。

東邦大学大森病院緩和ケアセンター長を経て、早期緩和ケアの普及・実践のため、2018年8月に遠隔診療導入した早期緩和ケア(診療時やがん治療中からの緩和ケア及びがんに限らない緩和ケア)外来専業クリニックをさきがけとして設立。

著書に、『死ぬときに後悔すること25』(新潮文庫)、『老年医療の専門医が教える 誰よりも早く準備する健康長生き法』(サンマーク出版)などがある。

著者紹介

連載第一線の緩和ケア医がレクチャー!相手の心を開き、信頼を深める「傾聴力」の磨き方

傾聴力 相手の心をひらき、信頼を深める

傾聴力 相手の心をひらき、信頼を深める

大津 秀一

大和書房

相手が元気になる「聴き方」。医療・介護現場のプロが必ず実践している、本当の「聴く力」とは? ●大切な人の悩み相談に真剣にこたえている ●自分なりに一生懸命アドバイスもしている なのに、相手が元気にならない……

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