戦略立案が得意で計算高い投資家ほど、わかっていない
大きなトラブルや問題の発生を未然に防ぎ、より良い不動産投資を実現するために必要なのは、関係者と良好な関係を築くことです。特に管理会社との関係性構築は非常に重要で、中長期的に付き合っていくだけに、パートナーとして捉えるべきでしょう。
では、どのようにして管理会社と良好な関係を築いていけばいいのでしょうか。最も重要なのは、やはり「コミュニケーション」です。管理会社といえども、業務を行っているのは人です。その点、人と人との付き合いが非常に重要となります。
戦略立案が得意で計算高い人ほど、この点をおろそかにしてしまいがちです。たしかに戦略性や計算力も不動産投資には必要ですが、それだけでは不十分です。事業経営と同じように、関係者を適切に動かすスキルが求められます。
「いざというとき頼れるパートナー」の作り方
いざというときに協力してくれるパートナーを獲得できるかどうかは、普段のやりとりがものを言います。細かいことではありますが、普段の挨拶やお中元やお歳暮の贈答、さらにはタイミングを見て相談を持ちかけるなど、やりとりを頻繁に行うことが大事です。
これは不動産投資に限った話ではありませんが、人と人との関係性を深めるには、できるだけ多くの時間を共有することが大切です。小さなことだと思うかもしれませんが、案外こうした対応ができているかどうかで業者との関係性は変わるのです。
社会人経験が豊富な人は、このあたりの対応が上手なことも多いです。不動産投資を事業として考えた場合、管理会社を含めたすべての関係者は、ともに活動する仲間として認識する必要があります。だからこそ日々の対応が大事なのです。優秀な営業マンを想像してみてください。
優秀な営業マンというのは必ずしもトークが秀逸であるとは限りません。むしろ自分からいろいろと話しかけるというよりは、何度も接触し、相手の話をヒアリングし、傾聴によって信頼を得ているものです。
実は、不動産投資家と管理会社の関係性についても同じことが言えます。つまり何らかの問題が発生した場合に、いつでも相談できる関係性を築いておけるかどうかが不動産投資全体の成績に影響するのです。
そうは言っても難しく考える必要はありません。お互いに利害関係を伴って事業をしていることを踏まえ、双方が気持ち良く仕事でき、結果が得られるように工夫すれば良いだけです。それは単純に人間関係の問題です。
良い管理会社というのは日頃の対応も優れているものです。そしてそのような対応に対し、投資家側も真摯に応えようとすれば、それだけで良好な関係性の構築につながります。
ただ残念ながら、不動産投資家の中には、関連業者に無理難題を押しつけたり、一方的な要求を突きつけたりする人もいます。さらには費用を支出して依頼しているのだからと、あからさまに立場の違いを強調する人もいるかもしれません。
そのような対応は、双方にとってプラスにならないばかりか、自分自身の首を絞めることにもなりかねません。やはりお互いに良好な関係性があってこその不動産投資・不動産管理であることを自覚し、活動していくことが求められます。
働き方改革から考える、「副業としての不動産投資」
物件管理の自由度を高めることによって、不動産投資の捉え方は大きく変わってきます。自分で管理するのではなく、管理をほぼすべて任せられれば、自動的に収益が得られる仕組みとなるためです。そこでここでは、少し異なる視点で不動産投資について考えてみましょう。
例えば、不動産投資を“副業”として考えてみるとどうでしょうか。不動産投資はあくまでも“投資”なのですが、“事業”として捉えることによって、副業の一種であると定義することも可能です。
特に近年では、働き方改革に伴う残業の縮小と、副業(複業)や兼業の推進なども相まって、さまざまな観点から副業に関する議論がなされています。しかもそれは各企業だけでなく、日本全体として行われていることなのです。
厚生労働省のホームページには、働き方改革の実現に向けて、次のような方向性が示されています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
その背景にあるのは、少子高齢化による労働力人口の減少です。各企業は女性、外国人、高齢者を積極的に活用することに加え、社員の働き方を改善し、さらに生産性を向上していかなければなりません。
また、政府は「一億総活躍社会」という言葉を用い、働き方を根本から変えることを推進しています。その急先鋒となるのが残業を減らすことなのですが、国の方針ということもあり、こうした流れが大きく変わることはないでしょう。
会社員にとって、残業の減少がもたらす影響は二つあります。一つは「本業の収入が減る」こと、もう一つは「使える時間が増える」ことです。これら二つの変化が、別の収入源として副業や投資に向かうのは自然な流れでしょう。
ただ、副業にもさまざまなものがあります。本当に選ぶべきなのは、第二の収益源として収入が確保できることに加えて、必要最低限の時間と労力で行えることでしょう。本業との相乗効果も重要ですが、仕事に支障が出るようでは本末転倒です。
加えて、これまで誰かが残業として行っていた作業を、副業として代行するのも考えものです。ほかの仕事を経験すること自体はプラスになるかもしれませんが、働き方改革という本来の趣旨から外れており、残業の内容が変わっただけに過ぎないためです。
その点、副業を労働収入としてだけで捉えるのではなく、投資を含む不労所得として捉えることは、人生設計という観点からも重要ではないでしょうか。そして、管理を自動化した上で行う不動産投資は、そのような趣旨の活動に最適です。
賃貸管理の重要性を知れば知るほど、不動産投資は面白くなり、かつ優れた副業としての価値が増していきます。実は副業を検討している人ほど、投資としてではなく事業としての不動産投資が向いていると言えそうです。