物件管理に伴う3つのリスク
不動産投資にはさまざまなリスクがつきものですが、そのうち管理に基づくリスクにはどのようなものがあるでしょうか。リスクヘッジという側面から管理について考えておくことで、より確実性の高い不動産投資を実現できるはずです。
そもそも管理に基づくリスクとして挙げられるのは「入居」に関連することです。入居者が思うように得られない「空室リスク」に加えて、周辺物件との競争が加速した場合の「家賃下落リスク」や、さらには「周辺価値の低下リスク」などもあるでしょう。
そのような入居に関するリスクについては、物件を購入し、管理することまでを想定したうえで検討しておく必要があります。イメージとしては“点”としての物件管理ではなく“線”や“面”というそれぞれのつながりを意識しておくことが大事です。
管理に基づくリスクは必ずしも一定であるとは限りません。なぜなら入居者という人を相手にしている以上、各人の要望や不満など、住まいに求める内容は多様だからです。その点を踏まえて管理を行っていく必要があります。
そうした観点を前提としつつ、管理に伴うリスクを以下の三つに分類し、それぞれの対応策について考えてみましょう。
(1)入居に関するリスク
入居に関するリスクには、「入居者の獲得」と「入居者の退去」の二つがあります。「入居者の獲得」とは、想定以上に入居率が悪く募集をかけても入居者を得られないケースです。エリアや立地の問題だけでなく、仲介業者の営業スキルによって左右される場合もあるため業者の選定が重要となります。
また「入居者の退去」とは、物件管理の状況やトラブル対応に問題があり、空室率が高まってしまうケースです。物件そのものに問題がある場合もありますが、トラブル対応などが不十分なのであれば、管理業者を見直す必要があるでしょう。
(2)家賃に関するリスク
家賃に関するリスクには、主に「家賃の滞納」が挙げられます。家賃の滞納についてはどれだけ注意喚起してもし足りないほど重要であり、不動産投資における大きなリスク要因となり得ます。
その点、管理体制によって家賃滞納対策を講じておくことは、不動産投資家の責務であるといえるでしょう。管理会社に委託する場合、家賃滞納にどう対応しているのかをヒアリングし抜けや漏れがないようにしてください。
(3)経済・社会的なリスク
最後に経済・社会的なリスクについてです。いくら適切な物件管理を行っていても、社会全体の景気低迷や人口減少など、避けられないリスクがあります。また競合物件の進出や家賃下落、天災リスクなども含まれます。
そのようなリスクに対しては、管理体制を強化するというより戦略的な対応が求められます。具体的には複数の物件・エリアに投資することでリスクを分散させたり、もしものときを想定して保険での対応を検討したりするなどです。
特に天災リスクや人リスクに関しては、保険でカバーするのが基本です。具体的には家財保険を含む「火災保険」や地震への対策となる「地震保険」、さらには「施設賠償責任保険」や「孤独死保険」など、状況に応じて加入しておくといいでしょう。
また管理という点で考えると、複数の管理会社に依頼しておくことがリスクヘッジにつながることもあります。