平均寿命の伸びに伴い認知症になる人が増加し、2025年には5人に1人が発症すると言われています。現状、認知症を完全に予防する手立てはありません。重要なのは早期発見・早期対策です。※本連載は、OAG税理士法人取締役の奥田周年氏監修の『親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7』(ビジネス教育出版社、『暮らしとおかね』編集部)より一部を抜粋・編集したものです。

いまや高齢者の5人に1人が認知症になる時代

日本人の平均寿命はどんどん伸び、いまや男性が81歳となり、いずれも過去最高となりました(厚労省「平成29年簡易生命表」)。65歳以上の人口は、総人口の28.4%で、3.5人に1人が高齢者に(平成31年9月現在)。

 

人生100年時代を楽しむ高齢者も増えています。しかし、その一方で体力が衰えたり、病気になる人もいます。

 

ことに判断能力が低下する認知症に関しては、2025年には、700万人を超えると推計されている状況です。実に高齢者の5人に1人が認知症になる時代に突入しつつあります。

 

(出典)厚生労働省「成年後見制度の現状」(2018年5月)より本誌編集部
[図表3]日本の認知症人口は増加中 (出典)厚生労働省「成年後見制度の現状」(2018年5月)より本誌編集部

「あれ?」と思ったら即相談することが重要

親や兄弟姉妹、周りの親しい人の行動で、「あれっ?」と思うことはありませんか? 認知症は早めの発見で症状を遅らせることができる場合があります。

 

加齢による物忘れは誰にでもあります。しかし、加齢による物忘れは物事の一部を忘れることにとどまり、言われれば思い出せるところがあります。しかし認知症では、食事をしたのに、食べたこと自体を忘れてしまうなど、経験自体を忘れてしまうのが特徴です(下記図表4参照)。

 

本記事3ページのチェックリストは、「家族がつくった『認知症』早期発見の目安」です。あなたの親や兄弟姉妹、あなた自身に当てはめてチェックしてみてください。そのほか、家族の認知症を発見したきっかけも参考になります。

 

○歯ブラシに洗顔フォームをつけて「まずい!」とはき出した

○財布に小銭が「パンパン」、引出しにまでいっぱい

○昼夜が逆転し、夜中に家の中を歩き回る

○季節感のない同じ服、着替えない、身だしなみができない、など

 

症状が軽い段階で認知症の発症に気づき、適切な治療を始めることができれば、薬によって進行を遅らせたり、場合によっては症状を改善したりすることもできます。「あれ?」と思ったら、早めに専門家・医師に相談に行きましょう。

 

また認知症対策、相続対策もスタートさせることが大事です。本人が「認知症」と診断される前なら、よりよい対策が可能です。まず、おすすめするのは、「終活3点セット(→本書P74~。次回以降の記事でも詳述)」と呼ばれるもの。特に「任意後見契約(→本書P78。次回以降の記事でも詳述)を結んでおけば、認知症になった際に、本人の希望を活かした介護やお金の使い方、相続を可能にします。

 

もし認知症初期などと診断された場合は、判断能力の低下が進行しないうちに、できる限りの対応を進めましょう。

 

(出典:内閣府大臣官房政府広報室「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」)
[図表4]「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い(一例) (出典:内閣府大臣官房政府広報室「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」)

 

【認知症の相談窓口の一例】

●かかりつけの医師

●医療機関の「もの忘れ外来」

下記のウェブサイトから検索できます。
公益社団法人認知症の人と家族の会「全国もの忘れ外来一覧」

●地域包括支援センター

●認知症の電話相談(公益社団法人 認知症の人と家族の会)

電話番号 0120-294-456

受付時間:午前10時~午後3時(月~金 ※祝日除く)

※携帯電話からは050-5358-6578(通話有料)

このほか、全国47か所の支部でも電話相談を受け付けています。

 

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親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7

親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7

監修:奥田 周年
執筆協力:IFA法人 GAIA
編集:『暮らしとおかね』編集部

ビジネス教育出版社

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