認知症になったら、患者本人の治療費さえ引出し困難に
いよいよ日本に人生100年時代が到来しようとしています。しかし、高齢化が進むことで、体力が衰えたり、力が衰えたり、病気になる人も増えます。特に認知症については、さまざまな予測から今後とも拡大が予想されます。そのとき読者の家族は大丈夫か、考えてみましょう。
認知症は、加齢とさまざまな原因で脳の細胞が減ったり、働きが悪くなったりすることで、記憶や判断力が低下した状態です。人間は加齢とともに認知症になるリスクがあり、完全に避けることはできません。
すでに認知症の方を介護している読者がいるかもしれませんが、親や兄弟姉妹、自分自身が認知症になったら暮らしはどうなるでしょうか。
認知症になったら、身の回りのことが自分でできない、金銭管理もできなくなり、家族など誰かにやってもらわなければなりません。
症状が現れれば、通院や入院、介護施設への入居など、さまざまな費用も発生します。本人(認知症になった人)の治療費ですから本人のお金で払うことができれば、それが一番です。
もし、本人が認知症だとわかると、金融機関は、その人の財産を守るために口座を凍結します。事情を話しても、「本人確認」の審査が厳しく、家族でもお金を下ろすのが難しくなっています。
認知症になると、本人名義の口座の入出金ができません。本人名義の不動産の修繕・処分もできなくなります。親の自宅を処分して老人ホーム入居の資金にすることも厳しくなります。また、自分でアパート経営をしている方が認知症になると、修繕だけでなく、アパートを売却することもできなくなります。
遺産分割協議の合意に時間がかかってしまう
相続については、相続人の一人が認知症だった場合、遺産をどのように分けるか決める分割協議ができず、話合いがストップしてしまいます。協議には相続人全員が出席して、話合い、合意のうえで分割を進める必要があるからです。
でもこの本(『親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7』)を手にしているあなたは、すでに認知症対策をスタートしているので、不測の事態を回避できるはずです。認知症への対策はもとより、家族が認知症になったときの準備には、早すぎることはありません。万が一のときも通院や入院、介護での金銭的、精神的なハードルが低くなります。
本記事の3ページに認知症の前兆に気づく「チェックリスト」を載せてありますので、手始めに親や兄弟姉妹、もしやと思う方のようすを見ながら、チェックされてみてはいかがでしょうか。