平均寿命の伸びに伴い認知症になる人が増加し、2025年には5人に1人が発症すると言われています。現状、認知症を完全に予防する手立てはありません。重要なのは早期発見・早期対策です。※本連載は、OAG税理士法人取締役の奥田周年氏監修の『親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7』(ビジネス教育出版社、『暮らしとおかね』編集部)より一部を抜粋・編集したものです。

認知症になったら、患者本人の治療費さえ引出し困難に

いよいよ日本に人生100年時代が到来しようとしています。しかし、高齢化が進むことで、体力が衰えたり、力が衰えたり、病気になる人も増えます。特に認知症については、さまざまな予測から今後とも拡大が予想されます。そのとき読者の家族は大丈夫か、考えてみましょう。

 

認知症は、加齢とさまざまな原因で脳の細胞が減ったり、働きが悪くなったりすることで、記憶や判断力が低下した状態です。人間は加齢とともに認知症になるリスクがあり、完全に避けることはできません。

 

すでに認知症の方を介護している読者がいるかもしれませんが、親や兄弟姉妹、自分自身が認知症になったら暮らしはどうなるでしょうか。

 

認知症になったら、身の回りのことが自分でできない、金銭管理もできなくなり、家族など誰かにやってもらわなければなりません。

 

症状が現れれば、通院や入院、介護施設への入居など、さまざまな費用も発生します。本人(認知症になった人)の治療費ですから本人のお金で払うことができれば、それが一番です。

 

もし、本人が認知症だとわかると、金融機関は、その人の財産を守るために口座を凍結します。事情を話しても、「本人確認」の審査が厳しく、家族でもお金を下ろすのが難しくなっています。

 

認知症になると、本人名義の口座の入出金ができません。本人名義の不動産の修繕・処分もできなくなります。親の自宅を処分して老人ホーム入居の資金にすることも厳しくなります。また、自分でアパート経営をしている方が認知症になると、修繕だけでなく、アパートを売却することもできなくなります。

 

5人に1人が認知症になる時代…発症すると、本人の治療費さえ引出しが困難
発症すると、本人の治療費さえ引き出すことが困難になる

 

遺産分割協議の合意に時間がかかってしまう

相続については、相続人の一人が認知症だった場合、遺産をどのように分けるか決める分割協議ができず、話合いがストップしてしまいます。協議には相続人全員が出席して、話合い、合意のうえで分割を進める必要があるからです。

 

でもこの本(『親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7』)を手にしているあなたは、すでに認知症対策をスタートしているので、不測の事態を回避できるはずです。認知症への対策はもとより、家族が認知症になったときの準備には、早すぎることはありません。万が一のときも通院や入院、介護での金銭的、精神的なハードルが低くなります。

 

本記事の3ページに認知症の前兆に気づく「チェックリスト」を載せてありますので、手始めに親や兄弟姉妹、もしやと思う方のようすを見ながら、チェックされてみてはいかがでしょうか。

 

イラスト・漫画:今野紺、ハマサキ
[図表1]あなたの家族は大丈夫? 認知症の前兆はもう始まっているかも① 漫画:ハマサキ

 

イラスト・漫画:今野紺、ハマサキ
[図表2]あなたの家族は大丈夫? 認知症の前兆はもう始まっているかも② 漫画:ハマサキ

 

次ページ加齢か認知症か…「物忘れ」をどう判別?
親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7

親が認知症と思ったら できる できない 相続 暮らしとおかねVol.7

監修:奥田 周年
執筆協力:IFA法人 GAIA
編集:『暮らしとおかね』編集部

ビジネス教育出版社

相続トラブルを避けたい! 巻き込まれたくない! 認知症の方がいても相続手続を円滑に進めるために役立つ情報が満載! 相続財産が自宅と金融資産を合わせて1億円以下の方、中小企業のオーナーや個人事業者にも役立つ!…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録