新聞、雑誌、ラジオを抜いたインターネット広告
インターネットがビジネスで必須の存在となり、ウェブを活用した商品宣伝や集客が当たり前に行われるようになりました。右を見ても左を見てもウェブ、ウェブ、ウェブ……もはやウェブマーケティングがなければどんな企業も立ち行かないと思えるほどです。実際にインターネットを活用した広告費は年間1兆7589億円にのぼり、新聞、雑誌、ラジオの広告費を合計した額をはるかに上回り、テレビメディアの額に迫ろうとしています。(2018年、電通調べ)。
たしかにウェブマーケティングは、テレビCMや新聞広告などの媒体と異なり、数十万円の費用から利用できるサービスもあるので導入が比較的容易です。また動画をアップしたり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を介して顧客と双方向のコミュニケーションを図るなど、活用の幅も広がり続けています。さらに近年は、膨大なデータに基づいた精度の高いマーケティングが可能になるなど、ウェブの利点は枚挙に暇がありません。ところが残念ながら、ウェブマーケティングに投資したもののまったく効果が感じられないと不満を抱えるケースが山ほどあるのが現実です。
「高い費用をかけてウェブに広告を出しても、売上は増えなかった」
「契約した広告代理店は毎月請求書と内容の薄いレポートを送ってくるだけ」
「報告書を読んでも、担当者に聞いても、今何をしているのかよく分からない」
「営業はしつこいぐらいかけてきたのに、契約したとたんに対応が悪くなった」
ウェブマーケティング業界は、クライアントのこのような恨みにも近いような不信の声で溢れかえっています。実はそれも当然です。なぜなら、相手に知識がないのをいいことに、当たり前のサービスさえ提供していない事業者が業界にはびこっているからです。3年前にこの本を書いたときと比べても、残念ながらその実態はほとんど変わっていません。いまだに「よくこんなやり方を続けているな」とため息をつくこともたびたびです。