ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

日進月歩の技術は専門家でない限り分からない

私自身、これまで15年以上にわたって700社以上のウェブマーケティングに関わってきました。業界の内側を黎明期から見てきてはっきりと分かるのは、下請けに丸投げで担当者は素人同然の広告代理店、ホームページを作りっぱなしで効果検証もせずに制作費を請求する制作会社、グーグルやヤフーの検索順位だけにこだわってお金を浪費させるSEO(検索エンジン最適化)会社などが、非常に多いということです。なかには詐欺まがいの行為さえ少なくありません。

 

ウェブマーケティング業界がこのような惨状にあるのは、まず業界ならではの特性がひとつの理由です。例えば、成果として示されるアクセス数アップや検索結果における上位表示などは他の媒体にはない指標ですが、それが売上や顧客数の増加に直接つながるとは限りません。何がゴールなのかが明確になっていないといえます。また、業界の歴史自体がまだ浅く、成熟しきっていないことも大きな理由です。

 

インターネットが一般の人々に使われ始めたのが約25年前、ECサイトなどウェブを使ったビジネスが始まってから約20年。バナー広告、SEO、リスティング広告など、今日のウェブマーケティングでもよく使われる手法が導入されるようになってからは、まだ10年余りしか経っていません。まだまだ成長の途上にある業界であるがゆえに、粗悪な仕事をする事業者も大手を振ってまかり通り、きちんとした会社と区別がつきにくいカオス状態にあるのです。

 

また、ネットワーク技術の進歩は目覚ましく、専門家でない限りその技術を用いる意味や効果を正しく判断することができません。アドネットワーク、DSP(デマンド・サイド・プラットホーム)、SNS、コンバージョン……ウェブマーケティングの現場では、知識のない経営者にとってはチンプンカンプンな言葉が飛び交います。発注した側が肝心の効果を実感できていないにもかかわらず、ウェブマーケターたちは「コンバージョンが何件増えた」などと誇らしげに語り、なんだかよく分からないうちに煙に巻かれてしまう――そんな茶番劇が繰り広げられているのです。

 

もちろん業界の中にいれば誰もがそれを知っています。そして当然ながら、バカ正直に真実を明かして飯の種を手放すような真似はしません。

 

そんな業界の悪い面に嫌気がさし、私は同業者を敵に回す覚悟で、業界の実態を暴き、本当の魅力を伝えようと本書の執筆を決意しました。ここまで書くのか――と、読んで血の気が引くであろう数々の事業者も、容易に想像できます。

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