※本記事は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

子どものいない夫婦に訪れた悲劇。それは…

だからといって、他の兄弟たちが納得できるはずもありません。親のお金の使い込みは、親が亡くなった後、遺産分割協議の際に発覚することが多く、問題がこじれると家庭裁判所の調停に持ち込まれます。そこでも解決できないときは、地方裁判所での裁判によることになります。

 

 

しかし、このケースでは親が生存中に発覚しているため、長女を相手に、長男ではなくお金を取られた母親が裁判を起こす、というかたちになります。

 

母親としては、同居している娘に気を許し、安心して全てを任せていたのでしょう。

 

年老いた母親には酷なことですが、その油断がこのような事態を招き、兄弟の間に大きな亀裂を生じさせ、母が娘を訴えるという悲しい結末を呼び起こしてしまいました。

 

当人たちは今、お金を取り戻す・返さないということで躍起になっているので、そこまで頭が働かないのでしょうが、これによって損なわれたのはお金だけではありません。

 

親子間と兄弟間の信頼関係はもちろん、それぞれの兄弟の子どもたち、すなわちいとこ同士の関係まで損なわれかねないのです。むしろそちらの方が、よほど重大なのではないでしょうか。

 

子どもの数が減り、親戚付き合いが希薄になっている今、本当に大切にしなければならないのは身内との関係のはずです。自分で財産管理をすることが難しくなる前に、信頼のおける誰かに委託していれば、こうした事態を回避することができたはずです。それをしなかったことについて、母親に過失があったと言わざるを得ません。

 

■「老後の面倒を見てほしい」養子を迎えてみたものの…

 

子どもがいてもあてにすることができない今、夫婦二人だけで年老いていくのは、心細さがつきまとうことでしょう。しかし、それが思わぬ落とし穴になることもあります。

 

〈事例3〉

 

子どものいないCさん夫妻には、特別にかわいがっている甥がいました。甥が結婚して子どもができてからは、Cさんの家の近くに住まわせ、本当の親子のように行き来してきました。

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老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

昨今、高齢者を狙った詐欺や「争続」が新聞やテレビなどのメディアで盛んに取り沙汰され、老後の財産管理に対する不安が高まっています。高齢になると判断能力が低下してしまい、望まないかたちで財産を失ってしまうケースは多…

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