「死後のことなど考えたくない」という人は多いもの。しかし、何も対策をしなかった結果、相続財産をめぐり家族がバラバラになってしまう事例が相次いでいます。そこで本記事では、一般社団法人社長の終活研究会・代表理事の眞鍋淳也氏が死後に起きたトラブルの事例を紹介し、相続対策の重要性を解説します。

「葬儀に金をかけるな!」キレる相続人続出のワケは…

「葬儀にお金をかけすぎたのは○のせい」

「戒名なんて一番下のランクの安いものでよかったのに、見栄を張って高いものをつけるとは何事だ」

「○が勝手にやったことで相続財産が減るなんてとんでもない!」

 

と、葬儀費用が遺産分割協議の際に問題となり、口々に喪主を非難するということがしばしばあります。一昔前なら起こり得なかったことが、現実に起こっているのです。

 

その背景には、個々人の権利意識が強くなっていることと、葬儀費用について口にすることへの抵抗がなくなったことがあります。

 

かつての日本では、結婚式とお葬式にいくらかかったか、ということに触れるのはタブーとされてきました。特に葬儀に関しては、「こんなに使い回している花輪や装飾品が、どうしてこんなに高いの?」と誰もが疑問に思っていても、口にすることはありませんでした。それが「常識」だと誰もが認識していたからです。

 

ところが今では、そうした「常識」そのものが変わってしまいました。もう葬儀費用に関することはタブーでも何でもなく、口にしても平気な時代、むしろ曖昧なものを明らかにしていくことの方が「常識」になったのです。

 

もっともこのケースでは、実は兄弟たちの言い分にも一理あります。というのも、本来、葬儀費用は喪主が負担すべきものとされているからです。

 

さらにこのケースでは、他の相続人に対する断りなしに、独断で「相続財産から葬儀費用を出そう」と決めてしまいました。ここに問題があるのです。

 

他の相続人からすると、「勝手に相続財産の一部を使われた」わけで、不満に感じることがあっても、無理はないでしょう。実際に、不満を抱いた相続人が葬儀費用の返還を求めてきたケースもあります。

 

特に槍玉に挙げられやすいのが、僧侶に支払う戒名料です。通常、戒名料には領収書は出ません。このことから、「実際にはそんな金額は支払っていないのでは?」などの憶測を生み、争いの種となることが多いようです。

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老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

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