破綻寸前まで追い込まれた大和証券。社員だった私は…
■救世主現る
山一證券破綻から1年後の1998年10月、日本長期信用銀行も破綻。
大和証券は格付けがトリプルBマイナスの「ネガティブ」となりました。これはつまり、今後の見通しとして「ダブルBへ落ちるかもしれない」可能性を示していました。投資不適格に王手がかかっていたのです。
当時の大和証券の株価は281円。夕刊フジの一面に「大和、海外に飛ばし」という見出しが大々的に踊っていたのを覚えています。それが事実かどうかはさておき、そのくらいに大和証券も困窮していたのです。山一證券と同じ道をたどろうとしていました。
実は私はその当時、自社株を8000株も保有していました。そのうちの半分に当たる4000株は1株800円くらいで、会社からの借り入れで買い付けた株で、残債はまだかなりある状態でした。もし会社がこのまま破綻してしまったら、株券はただの紙切れとなり、借金が残るだけ。絶望と恐怖のどん底でした。
壊滅コース一直線だった大和証券と私に、救世主が現れました。住友銀行(現三井住友銀行)が出資という救いの手を差し伸べてくれ、破綻の危機を免れたのです。なんとか起死回生を果たした大和証券は、ITバブルに向かって熟していく市場の追い風もあり、一時期つけた281円の安値が、2000年2月には2115円にまで上昇しました。
この頃に私も1000円で4000株を売却、さらにその後1900円で残りの4000株を売却し、大きな利益を出すことができたのです。もしあのまま大和証券が破綻してしまっていたらと思うと、背筋の凍る思いです。借金返済に追われる苦難の人生を歩んでいたことでしょう。
次回は月曜日(7/20)配信。
※本記事は書籍『株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座』を抜粋したものです。
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原田 茂行
IFA/自由が丘財産コンサルタンツ合同事務所代表/一般社団法人シニアウェルスライフ協会代表理事