日本には「知らぬが仏」という言葉がある通り、秘密にすることによって穏便に事を済ませようとする文化がありますが、相続が発生すると状況は一変します。隠しごとが原因で、家族がお金の問題や人間関係のトラブルにいきなり直面することになるのです。隠しごとの処理はひとりで悶々と考えていてもどうしようもありません。本記事では、自身の死後の事務作業を委託することのできる「死後事務委任契約」について取り上げます。

日ごろの行動が丸見えとなる「領収書」

人が亡くなるとさまざまな事務手続きが必要です。葬儀の手配では家族や親族、友人、関係者への通知をします。また役所への届出を行ったり、生命保険金の事務手続きのために書類を集めたりと遺族が行う事柄は多岐にわたります。

 

その他にも相続財産がどこにいくらあるのかを調べたり、貸借関係の整理を行ったりもします。多くの隠しごとはこの時に発覚してしまいます。

 

各種書類や領収書、メモなどから、社長が隠していた財産のことやこっそり買っていた趣味用品のこと、あるいは不適切な女性関係などがばれてしまうのです。実際に領収書一つあれば、その人の行動はかなり把握できてしまいます。

 

「○月○日にフレンチレストランで3万円分の食事をしていた」ということを示す領収書が出てきたら、「あの日は業界の飲み会だと言っていたのに!」ということになるかもしれません。

 

さらにインターネットで検索してお店の雰囲気がわかれば、どんな相手と行ったのかだいたいの見当は付くものです。筆者も税理士という仕事柄、多くの領収書を拝見します。食事に極端な偏りが見えるケースでは「お身体は大丈夫なのだろうか?」と心配になることもあります。まるでその人の日記を読んでいるようなものです。ですから隠しごとを守るためには、領収書は絶対に処分する必要があります。

 

しかしながら法人税法では「帳簿書類」とされており、基本的に7年間保存するよう定められています。税務処理のことを考えると、やみくもに処分するわけにはいかないのが悩ましいところです。その場合には、税理士と「帳簿書類」を保管してもらう契約を結んでおくといいでしょう。

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