日本には「知らぬが仏」という言葉がある通り、秘密にすることによって穏便に事を済ませようとする文化がありますが、相続が発生すると状況は一変します。隠しごとが原因で、家族がお金の問題や人間関係のトラブルにいきなり直面することになるのです。隠しごとの処理はひとりで悶々と考えていてもどうしようもありません。本記事では、自身の死後の事務作業を委託することのできる「死後事務委任契約」について取り上げます。

 

また、ブログを書いたりインターネット通販を利用したり、動画配信サービスを利用したりと、デジタルアイテムの利用範囲は中高年でも大きく広がっています。

 

もし、それが人目に触れたらどうでしょう? 誰かに送った私的なメールや、インターネット通販の購入履歴、その他サービスの利用履歴など、家族には絶対に知られたくないものがパソコンやスマートフォンに入っている人は多いと思われます。さらにデジタルデータの中には、隠しごとがばれるきっかけになりそうなものも数多くあります。

 

そういったデータはさまざまな形で残るため、領収書のようにシュレッダーにかければおしまいというわけにはいきません。たとえばメールで情報をやりとりすれば、パソコンにデータが残ります。フリーメールを使えばサービス提供元のサーバーにデータが残りますから、アクセスするためのメールアドレスとパスワードさえわかれば、誰でもどこからでも見ることができます。

 

生前ならまだしも、死後にそういったデータを消すことはかなり困難です。しかもこういったデータは劣化しませんし、コピーをとるのも簡単です。

 

また最近では掲示板や動画サイトなど、世間一般が閲覧できるサイトに載せるのも容易です。悪意ある人の手に渡ってしまうと、際限なくコピーされ多くの人の目にさらされてしまう危険性があるのです。

「隠す必要がないもの」は、存在を遺言書に残す

デジタルデータの中には、隠しておきたいものとそうでないものがあります。たとえば家族が知っているネット銀行の残高や取引履歴、同じく存在を教えているブログや家族写真などのデータを置いているクラウドサービスなどは知られても大丈夫です。そういった情報はエンディングノートやパソコンのデスクトップなど、わかりやすい場所に置いて「いざという時は確認してほしい」と伝えておきます。

 

また、法的な効力はありませんが、遺言書の付言事項というメッセージ欄に記しておくのもいいでしょう。そうしておけば、データを探して家族がパソコンの中をいろいろと検索したあげく、社長にとって知られたくないデータに遭遇するという事態を予防することができます。

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妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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