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低血糖で脳にダメージが蓄積された結果、認知症に
従来、低血糖というと、糖尿病の治療ミスで起こるものが、いわゆる「低血糖」として有名でした。糖尿病の患者さんが、インスリンを打ち過ぎたり、血糖降下剤(抗糖尿病薬)を飲み過ぎたりして起こす低血糖(糖尿病性低血糖)です。これはとても危険です。バスの運転手さんがインスリンを打ち過ぎて血糖値が下がり、運転中に意識を失って大事故を起こしたのは記憶に新しいところです。
高血糖と低血糖では、どちらが危険でしょうか。どちらも重症になると意識を失います(昏睡)。しかし、高血糖はインスリンを注射しておけば間もなく意識が戻ります。一方、低血糖を放置すると、植物人間になったり、死んでしまうこともあります。
低血糖発作が起こると自律神経系が作動し、めまいや頭痛、生あくびなどさまざまな症状が起こります。そのときすばやく上手に対応すれば、すぐ回復します。しかし、処置が遅れると脳がやられてしまいます。それも、たまたま1回ならともかく、頻繁に低血糖発作を起こすと脳は徐々にダメージを受けてゆきます。
その結果、脳や神経系が委縮して、やがてはアルツハイマー病などにもなってしまいます。慢性の低血糖は、脳の機能に大きな影響を与えるだけでなく、脳を変性させてしまうことすらあります。認知症の症状が表われてしまってからでは治しようもありません。何にもまして予防が大切です。