「食後の眠気」の原因は低血糖です。高血糖に比べ危険視されることがない低血糖ですが、慢性化すると脳にダメージが蓄積され、脳や神経系が委縮して認知症を引き起こす恐れがあります。低血糖を防ぐには、どうすればよいのでしょうか。※本連載は、千代田国際クリニックの院長である永田勝太郎氏の著書『「血糖値スパイク」が万病をつくる!』(ビジネス社)より一部を抜粋・編集し、医師さえ知らない「低血糖」の危険性を科学的に解説します。

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    すい臓が「血糖値を下げるホルモン」を過剰に放出

    では、どうして血糖値が急に下がるのでしょうか。それにはインスリンというホルモンが関係しています。インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンです。

     

    イラスト:林香世子
    [図表2]すい臓とはどんな臓器? イラスト:林香世子

     

    食事をとると血糖値が急に上昇します。すると、すい臓が刺激されてインスリンを分泌します。血糖値スパイクを起こしやすい人のすい臓は、健康な人のすい臓にくらべて過敏です。そのためすい臓が過剰に反応し、インスリンを大量に出してしまいます。そうすると今度は血糖値がストンと下がってしまうのです。そのため食後に眠気が出たり、異常な疲労感が出ます。

     

    食事などで血中の血糖値が上がると、すい臓が刺激されてインスリンが分泌される。このときインスリンが出すぎると低血糖になる。
    [図表3]低血糖のメカニズム 食事などで血中の血糖値が上がると、すい臓が刺激されてインスリンが分泌される。このときインスリンが出すぎると低血糖になる。
    イラスト:林香世子

     

    この現象は食事中に表われることもあり、食後数時間経って起こることもあり、人によって異なります。一般的には朝食の3時間後(午前10時過ぎ)、昼食の3時間後(午後3〜4時頃)が多いようです。この時間帯は昔からおやつの時間、ティータイムとされてきました。それは低血糖を予防する時間でもあったわけです。

     

    さらに、血糖値が下がると血圧も下がります。脳だけでなく、心臓も動きが悪くなるためで、結果として脳に行く血流も少なくなります。

     

    高齢者では、食後に低血圧を起こすこと(食後性低血圧)が問題になっていました。食後に低血圧発作を起こし、倒れてしまうことがあります。その原因は不明とされてきましたが、食後の血糖値スパイクを考えると十分理解できます。

     

    食後に眠くなるという自覚がある方、特に高齢者の方は、クルマの運転中や歩行中に低血糖発作が起こるとたいへん危険です。食事の後はゆっくり休むようにしてください。

    次ページ低血糖で脳にダメージが蓄積された結果、認知症に
    「血糖値スパイク」が万病をつくる!

    「血糖値スパイク」が万病をつくる!

    永田 勝太郎

    ビジネス社

    食後に眠くなる人は要注意!?  ガン、心筋梗塞、脳梗塞、アルツハイマー、うつ、ADHD…その他の病因は、血糖値の乱高下「血糖値スパイク」のせいだった! 飽食の時代ともいわれる現在の日本には、実は低血糖の人が1700万…

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