株式投資初心者が意外と見落としがちな株式取引のルールに、売買の成立方法があります。成行買いを出す人もいれば、必ず指値で売買する人もいます。売買株数が少ないうちは良いのですが、枚数が大きくなると売買が不成立になり、思うような売買ができなくなることもあります。そこで意外と知られていない「株式売買の成立の仕組み」についてみていきましょう。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

株式売買で一番大事な「時間優先の法則」

株式売買が成立することを約定(やくじょう)といいます。この約定の優先順位は、3つの基準で決められています。それは、買い方(指値か、成行か)、価格、時間です。

 

売買成立、なるか?
売買成立、なるか?

 

まず買い方ですが、大きく分けて2つあります。一つは指値注文で、価格を指定して株式を売買します。当然、この価格にならなければ売買不成立となります。

 

これに対して成行注文は、価格を指定しません。買い注文の場合、最も安く発注されている売り注文に対して約定します。また、この2つの注文では成り行き注文の方が指値注文より優先されます。

 

このため、寄り付き前の気配値の場合、寄り値にある注文のうち、成行注文が片付かないと、指値注文は売買不成立となります。

 

次に価格ですが、これは簡単です。買いは、最も高い価格を提示したもの、売りは最も安い価格を提示したものから約定します。そして、同値であれば指値注文より成行注文が優先的に約定します。

 

3つめは時間です。これは時間優先の原則と呼ばれます。[図表1]のように板を見ると同じ価格に複数の注文が重なって表示されています。このとき、同じ価格であれば、先に出した注文から約定していきます。行列のできるお店で、早く並んだ人からお店に入れるのと同じです。

 

[図表1]株式売買…板の事例・その1

 

このルールは当たり前のように聞こえますが、プロはうまく使います。たとえば、ある価格の板を厚く見せつつ、自分は約定したくない場合、一度注文をキャンセルして、再度同じ価格に指値注文を出します。すると、その時点で、その価格では最後に約定される注文になります。株価の動きをコントロールしたいときに使われる、アイスバーグ注文などで使われるテクニックです。

 

非常に基本的な売買ルールの解説をしましたが、この基本を使って株価をコントロールすることも可能である以上、しっかり覚えておきたい内容です。

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