丘の上の高級住宅地だが、坂道が仇となり…
「聖蹟桜ヶ丘」は東京都多摩市位置する、京王電鉄京王線の駅です。1日の乗降客数は6.5万人。昨今は減少傾向にあります。
駅があるのは、多摩市関戸。1213年、鎌倉幕府によって作られた関所「霞ノ関南木戸柵」が地名の由来といわれています。1925年、「関戸」駅として開業しましたが、それから12年後の1937年、「聖蹟桜ヶ丘」駅に改称されました。周辺に桜の名所に由来する「桜ヶ丘」という地名があったことと、付近に明治天皇の御狩場あったことから、天皇に関係のある遺跡・史跡を示す「聖蹟」をかけ合わせた駅名がつけられました。
当時、東急電鉄が「九品仏」駅から「自由ヶ丘」(のちに「自由が丘」)と改称し、地域のブランドが向上したという成功例から、都内近郊を走る私鉄沿線には、駅名に「丘」をつけるブームが起きました。「聖蹟桜ヶ丘」においても、同じような効果を狙ったといわれています。
駅周辺は、京王電鉄をはじめ京王グループの本社が集積するほか、「京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター」などの大型商業施設が立地するなど、京王グループの重点エリアになっています。
住宅開発を積極的に進めたのも京王電鉄で、沿線随一の高級住宅地を目指し、1960年代に開発・分譲がスタート。当時としても珍しい、都市ガスなどが整備された、近代的な街づくりが進められました。この地を舞台にしたのが、ジブリ映画「耳をすませば」。中学三年生の初恋を描いた映画で、住宅地から駅に向かう際は、映画でも登場する風景が見られます。いまなお聖地巡礼で訪れるファンも多いとか。
しかしここで顕著になっているのが、「坂道がつらい」問題。駅があるのは多摩川沿いの低地で、造成された住宅地は急な坂道をかけあがった丘の上。この坂道があったからこそ、「耳をすませば」では印象的なシーンが描かれましたが、住民にとってはかなりの負担です。入居してきたばかりの若い頃であれば、丘を駆け上がることもできたでしょう。しかし年老いてから、この坂は……、と住民の転居が相次いでいるのです。このままではゴーストタウンになってしまうと、ニュータウンの再生が急務となっています。
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