「10億円も借金したのに」手元に入った利益は…
まぁ所詮、素人がど素人に成功事例を紹介しているだけだから、プロの世界では序の口だと気づいてほしい。超プロの考え方と交渉能力と資金調達能力には遥かに及ばない。だから、超プロは成功事例を商売にせず、自分自身と大切なお客にだけ使って大きくなっている(自分自身の売買と顧客のリピートで十二分に儲かるから)。本当に儲かるなら自分だけでやるのが普通だろう。
そんな今の相場観で考えると、大家(投資家)は全然、儲からない。例えば10億円の物件を買ったとして、利回りが7%なら、年収は7,000万円になる。どんな資金調達をしても返済率が50%を超えるだろうから、満室での手残りは3,500万円。そして修繕費、管理費、固定資産税、……いろんな経費を差し引いて、残ったとして税引き2,500万円くらいか。それなら、1人あたり10万円の月会費にして、100人と関わった方が儲かる。だからこういうビジネスをはじめるヤツが多いのだろう。
正確に計算するともっと悲惨だ。10億円、0.6%、元利均等、30年で計算すると返済は308.2万円/月。返済比率が60.6%。経費率10%と少なめにしても、毎月満室で200万円程度しか残らない。年間2,400万円。税金を払うと手取りはもっと減る。10億円も借金してるのにお金増えないし(笑)インフレにならない限り金増えないよ。
だが、プロは違う。今も、昨年も、一昨年も、その前も、ずっと物件を買い、管理し、バリューアップして転売して利益を出してきた圧倒的な経験の差がある。そこには共通するマニュアルのようなものは存在しない。ひたすら情報を集め、経験と追加投資と計算と勘からの判断で成功を積み上げるのだ。
そんな超プロ業者とエセ詐欺師を比べたら、話しぶりや風格で素人でもニオイを感じ取れるような気がする。つまり、怪しいという感覚は正しい。そんなヤツと関わる暇があったら、自分の足でじかに情報を獲りに行け!
※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・編集したものです。
株式会社BRAVE 代表取締役
山部 和孝