[図表]の物件は兵庫県伊丹市にあるものですが、バス便ではあるものの年間家賃収入(満室想定)が1900万円ほど見込めるため、物件価格が2億5000万円であれば表面利回りは7%台後半と悪くありません。
しかし、家賃収入から管理費、管理委託料、固定資産税などを差し引くと、収支合計は1650万円ほど。そうなると実質利回りは6%台まで下がることになります。このように表面利回りだけでなく、実質利回りでも物件を評価しておくことが大切です[図表2]~[図表8]。
一方で、京都市にある物件はどうでしょうか。こちらは物件概要に表面利回りとネット利回り(実質利回り)が記載されており、それぞれ14.44%と11%になっています。物件価格も安く、かなりの高利回りが期待できる優良物件です。
このような優良物件であれば、入居付けや空室のフォロー、さらには入居者対応をきちんとしている限り、安定的に収益を得ることができるでしょう。
このように儲かる物件と儲からない物件を知るためには、表面利回りだけでなく、実質利回りでも計算しておくことが大切です。
そのうえで立地やエリア、周辺環境、競合物件の数や質などから、よりよく望ましい投資物件を見極めていきましょう。
賃貸需要が高いエリアであれば、築年数が50~60年でも投資としての運用は十分可能です。海外では、立地条件がよいところは築年数100年でも、すぐに借り手が見つかります。
重要なことは、築年数が古くなっても家賃コントロールで入居者をしっかり確保できる物件を保有することです。
賃料相場だけでなく、入居率・空室率にも着目
物件選びに関するいくつかのポイントがあるなかで、特に意識しておきたいのは「賃料」です。どのくらいの賃料が得られ、利回りがどのように推移していくのかを理解しておけば、より安定的な投資が実現できます。
賃料を左右する要素としては、まず「相場」があります。賃貸物件を掲載しているポータルサイトなどをチェックしてもらえばわかるのですが、それぞれの地域の相場を基準に家賃水準が決まっています。
試しにいくつかのポータルサイトで物件の家賃を調べてみましょう。任意の地域を選択し、ワンルーム、1LDK、2LDKなどのように、それぞれの価格帯をチェックしてみてください。その過程で相場観が見えてきます。賃貸物件を集めているポータルサイトには、主に次のようなものがあります。
●SUUMO(https://suumo.jp/)
●HOME’S(https://www.homes.co.jp/)
●アットホーム(https://www.athome.co.jp/)
●CHINTAI(https://www.chintai.net/)
●エイブル(https://www.able.co.jp/)
●アパマンショップ(https://www.apamanshop.com/)
●ホームメイト(https://www.homemate.co.jp/)
賃料相場を見ていくと、物件の規模ごとにおおよその相場がわかります。もちろん経年とともに相場は変化していきますが、駅ができるなどの大きな変化がない限り、その推移は緩やかであると考えていいでしょう。
加えて、過去のデータなども参照にしつつ家賃推移をチェックしておけば、物件の購入を検討しているエリアの相場観がわかります。あとは一部屋あたりの年間家賃と部屋数をかければ、当該物件の年間家賃収入が明らかになるわけです。
ただし、賃料相場からおおよその利回りを計算する場合には、入居率・空室率についてもフォローしておく必要があります。それらを加味しないまま満額家賃で利回りを計算してしまうと、予想に反して運営が苦しくなりかねません。
そもそも入居率とは、当該物件における部屋数のうち入居者が入っている割合のことです。反対に空室率とは、部屋数に対して住んでいない部屋の占める割合です。いずれも家賃の有無に関係するだけに、押さえておく必要があります。
たとえば、一部屋あたりの月額家賃が10万円で、部屋数が10戸あるアパートの場合。想定される年間家賃収入は1200万円(100万円×12ヵ月)となります。ただしこれは満室想定での計算です。
960万円(80万円×12ヵ月)まで下がります。地方など人口が少ないところであれば、入居率が50%(空室率50%)となり、年間家賃収入は600万円まで下がるかもしれません。
いずれにしても家賃相場とともに入居率・空室率も見ておかないと、シミュレーションが大きく崩れてしまうことになりかねません。賃料水準だけでなく、どのくらい人が定着するのかにも着目するようにしましょう。