英語力がないだけで投資機会を失うことも・・・
金融機関を選ぶ際に何に着目すべきかといえば、サービスを十分活用できるかどうかの一点に尽きます。香港で口座開設した日本の投資家は数多くいますが、結局活用しきれずに終わっているのが現実です。それはなぜでしょうか。答えは、「言葉の壁」が立ちはだかっているからです。
たとえば、投資口座を開く場合は、金融商品のリスクを投資家がきちんと理解していることを、金融機関の担当者に分かってもらう必要があります。投資経験や、投資に関する知識などを英語で問われるのです。
たとえば口座開設にあたっては次のようなことが必ず聞かれます。
・口座開設の目的は何?
・全資産のうちリスク商品に回せる資金は何割?
・どの程度までリスクを許容できるのか?
・インカムゲイン重視か、それともキャピタルゲイン重視か?
日本人にとっては、日本語ですら答えるのが難しい質問ばかりといっていいでしょう。しかし、これらの回答によっては、希望する商品に投資ができなくなってしまう可能性もあるのです。他にも、投資商品の具体的な説明や、売買手続き、送金手続きなど、あらゆる場面でコミュニケーションが求められますが、いずれも英語でのやり取りが基本です。
口座凍結となったときの「解除」もできない!?
そもそも日本人の多くは英語が不得手なうえに、専門用語も飛び交うわけですから、金融機関とのコミュニケーションは日常的な英会話よりもさらに難解なものになります。言葉の壁に阻まれて取引が面倒になり、気がついたら口座が凍結、解除しようと思ってもまた英語でのやり取りを求められて挫折。結局、維持管理手数料をやたらに払い続けるだけというケースも少なくありません。
「言葉の壁」は、日本の金融市場と海外の国際的な金融市場を隔絶させる根本的な原因にもなっています。
かつて日本でもリテールサービスを展開したHSBCやシティバンクは、撤退してしまいました。「日本人向け」のサービスを強く求められる中で規制にがんじがらめにされ、市場として魅力を感じられなくなったのです。その一つの要因として、日本語という壁があったことは否定できないでしょう。