本格的な海外口座活用の場として、やはり真っ先に名前が挙がるのが「香港」。本連載では、4月5日に刊行された『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』の中から先行して一部を抜粋し、香港で一番「使いやすい」銀行の見極め方をご紹介します。今回は、NWBのステートメントを例にして口座状況の確認方法などを見ていきます。

口座状況は通帳ではなく「ステートメント」で管理

海外口座活用の準備の最後に、運用中の口座利用状況、運用結果の確認方法を解説しておきます。定期的に確認が必要なのは、主に残高、運用状況、リスク許容度の変更です。

 

● 口座利用状況の確認

HSBCなどと異なり、ネットから金融商品の売買はできませんが、取り扱われている 金融商品の詳細な情報などはいつでも閲覧できます。

 

 

● ステートメント類などの整理と保存

NWBに口座開設し、送金が確認されると、月に1回「ステートメント(運用報告書)」、年に1回「インカムステートメント(損益計算書)」が送られてきます。これらは、取引内容が日本語で表記されているだけではなく、損益などがすべて「日本円」に換算されているため、税務署に提出する「支払調書」などを作成する際に大いに役立つはずです。香港の銀行口座であっても利益が出れば税務署への申告が必要になります。インカムステートメントは大切に保管しておきましょう。

日本語で円換算額の記載もあるNWBの運用報告書

では、具体的にどんな内容になるのか、実際にNWBが顧客に発行しているものと同じスタイルのサンプルを参考に見てみます。図表1は、月次の運用報告書のサンプルです。ポートフォリオの全容が分かる「資産配分」が表記されています。主に預金、ミューチュアル・ファンド、債券の3種類に分類されていることが分かります。保険もありますが、わずかです。単位はすべて日本円です。預金が約4,275万円、ファンドが約2,938万円、債券3,424万円、資産合計が1億640万円となっています。

 

 

さらに、図表2から5までが、それぞれ預金、ファンド、債券、保険の明細書(Portfolio Detail)になっています。預金では、次のような外貨に投資していることが分かります(図表2)。

 

● 香港ドル……約194万円
● 日本円……800万円
● シンガポールドル……約1,830万円
● 米ドル……約247万円
● 米ドル建て定期預金……約1,200万円


(図表3)のファンドの資産内容では、「ニューバーガー・バーマン米国不動産証券ファンド」と「プリンシパル・優先出資証券ファンド」で運用されています。トータルで約293万円です。ポートフォリオ全体の3分の1を占めています。

 

(図表4)の「債券」では、「CNOOC(中国海洋石油総公司)」の債券に投資してあります。さらに、(図表5)の「保険」もあります。

 

 

このようなイメージで、ポートフォリオ全体の運用の状況が分かるというわけです。日本円換算してありますから、毎月の運用報告書を保存しておけば、自分の資産の動向が正確に分かるはずです。

 

本連載は、2016年4月5日刊行の書籍『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の記載の内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、本連載を用いた運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、本連載の内容に関して運用した結果については、著者および株式会社幻冬舎メディアコンサルティング、合同会社幻冬舎ゴールドオンラインはいかなる責任も負いかねます。また、本書に記載されている情報は2016年4月現在のものであり、今後変更されることがあります。

グローバル資産防衛のための 「香港銀行口座」活用ガイド

グローバル資産防衛のための 「香港銀行口座」活用ガイド

岩崎 博充

幻冬舎メディアコンサルティング

世界有数の金融センター香港の魅力から、現地金融機関の特徴、日本人に最適な銀行での具体的な口座開設手順、さらには購入可能な金融商品と運用のポイントまで海外銀行口座の活用方法を徹底ガイド!

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