百貨店撤退の「八王子」凋落が話題でも人気上昇の秘密
「八王子」駅は東京都八王子市に位置する、JR中央線と横浜線の駅です。1日の乗車人数は8.5万人ほど。50万人都市・八王子市の拠点となる駅です。
八王子という地名は全国各地にあり、元になっているのは、牛頭天王(ごずてんのう)と8人の王子(八王子)をまつる信仰です。各地に八王子神社や八王子権現社が建立され、信仰を集めるとともに、地名として定着していきました。八王子市の場合も、八王子城にある八王子神社がそれにあたります。
八王子は、明治期に織物産業、特に生糸・絹織物で栄えた街。長野や山梨からも荷が集まり、輸出する横浜への中継地点としても発展。八王子と横浜を結ぶ道は「絹の道」と呼ばれていました。
また八王子には花街が残ることでもしられています。新橋、赤坂、神楽坂、浅草、芳町(人形町)、向島などと、「東京六大花街」といわれるほど栄え、大正時代には芸者は200を超え、1950年代には、料亭が45軒、芸者215人を数えたといいます。しかし高度成長期から徐々に衰退し、90年代の後半には芸者も10名ほどにまで減少しました。いまは、花街の文化を残そうとする活動が盛んに行われています。
そんな八王子は、「新宿」駅から30kmほどのところにあり、多摩地域を代表する繁華街として発展。かつての北口には、地元百貨店の「はまるき百貨店」や「イノウエ百貨店」、全国展開している「西武百貨店」「大丸」「伊勢丹」「そごう」など、複数の百貨店があり、多くの買い物客でにぎわっていました。しかし同じ中央線沿いの「立川」や「吉祥寺」との競争が激しくなっていくにつれて、次第に劣勢になり、次々と百貨店は閉店、撤退。エリアの地位低下がたびたび話題になりました。
確かに一時の隆盛に比べると、八王子は寂しくなった感が否めません。しかし百貨店がすべて撤退したとはいえ、その跡地には複合商業施設や家電量販店がオープンしたり、南口でも再開発により、複合ビルや商業施設ができたりと、新しい展開を見せています。また駅チカのマンションが増え、その利便性が話題になると人口も増加。ファミリーを中心に、「住みたい街」としての人気も高まっています。
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