不動産投資家は危機管理能力が高く、先見性がある…?
近年、多くの人が「投資」に関心を持ち始めています。その背景には、少子高齢化による日本経済の落ち込みや、社会保障や年金に関する将来への不安、さらには仕事やライフプランの変化などが挙げられます。特にこれからは、会社や国に頼るのではなく、自分自身で資産を作らなければなりません。
かつてのように一定の人生プランが設計され、それに沿って着実に努力を重ねていけば老後は安泰という時代ではなくなりました。事実、60歳だった定年は65歳へと延長され、より長く働くことを余儀なくされています。
また、もらえる年金の額も減少傾向にあります。若い世代の人は年金がもらえるかどうかすらわかりません。退職金についても同様で、勤めている企業の状況がどうなるのかはだれにも予想できませんし、場合によっては会社がなくなってしまう可能性すらあるでしょう。
不動産投資を行う人のなかには、そうした危機感を早くから持ち、資産形成の手法を模索している人が少なくありません。その点において不動産投資家というのは、危機管理能力が高く、また先見性があるといえるかもしれません。
ただその一方で、不動産投資のことをよく理解しないまま、手を出す人もいるようです。残念ながらインターネットやセミナーなどで表面的な部分についてだけを知り、理解した気になっている人も、一定数存在しています。
それは必ずしも、不動産投資家本人にだけ責任があるのではありません。適切な需要に基づかない物件の建設を進め、強引に売り抜く業者がいるのも事実です。それでも売れてしまうのが、これまでの不動産投資市況だったのでしょう。
また、銀行をはじめとする金融機関の融資が積極的に行われていたことも、不動産投資家の理解を妨げていた可能性があります。不動産業者の指示どおりに行動すれば、それで融資が受けられるという状況は、理解の促進につながりません。
現在では、不動産投資に関連する融資の状況が厳しくなりつつあります。不動産投資関連の不祥事が相次いだことに加え、金融当局も厳しい目を向けるようになったいま、不動産投資の融資を受けるハードルは上がっています。
とはいえ、必ずしも融資審査が厳格化されたとは限りません。需要があるところに対しては積極的に融資したいと考えている地方銀行も少なくないでしょう。つまり理解が不十分な不動産投資家が増えるリスクは残ります。
いずれにしても、不動産投資のことを正しく理解しないまま投資をすると損をするのは自分自身です。まずはそのことを自覚し、準備をしっかりしたうえで取り組むことの重要性を認識するようにしてください。それが結果的に、不動産投資の成功確率を高めることにつながるのです。
頭でっかちな不動産投資理論の問題点
ミドルリスク・ミドルリターンが期待できる不動産投資は、株式投資やFX、さらには暗号資産のような投機的投資より、安定的に資産形成を行うことができます。正しい知識を得て、正しい方法で取り組めば、着実に資産を増やすことができるのです。
ただし、不動産投資で成功する人がいる一方で、もちろん失敗する人もいます。大切なのは、どのような事柄が原因で失敗するのかを知り、そのポイントを未然に避けて投資することです。
では、不動産投資で失敗してしまう理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものとして挙げられるのは、不動産投資にまつわるリスクをきちんと把握せずに着手していることです。どの投資も同様ですが、リターンが得られるものには必ず何らかのリスクが潜んでいます。
投資をしない人の大半はリスクそのものを避けているのです。しかし、リスクを避けているばかりではリターンを得ることはできません。安全性の高い銀行預金ではほとんどリターン(利息)が得られないように、リスクとリターンは比例しているのです。
その点、闇雲にリスクを避けるのは得策ではありません。大切なのはどのようなリスクがあるのかをあらかじめ把握し、そのうえで適切な対策をとることです。だからこそ、リスクを認識していない人は失敗する傾向にあるのです。
不動産投資の代表的なリスクは「融資」に関するもの
不動産投資にまつわるリスクの代表は「融資」に関するものです。融資とはつまり、銀行をはじめとする金融機関から“借金”をすること。この借金するということ自体が、多くの人にとってのリスクであり、かつハードルとなっています。
融資を受けるということは、返済義務が伴います。たとえ想定したとおりに家賃収入が得られなかったとしても、返済はしていかなければなりません。その点を甘く見ていると、失敗する不動産投資家になりかねないのです。
もちろん、融資を受けること自体が悪いのではありません。むしろあらゆる事業がそうであるように、融資を受けて投資をし、利益を上げていくことはビジネスの基本です。ただし、そこに採算性が問われるということを忘れてはなりません。
そして投資というものは、想定どおりに進まないことも多くあります。つまり、不測の事態に対応できるだけの体制を整えておくか、あるいはそのような事態をも想定して準備しておかなければ、健全な投資はむずかしくなります。
果敢に挑戦することは大事ですが、詰めが甘いと大きな負債だけが残ることになってしまいます。投資に失敗した人の末路についてあらためて言及する必要はありませんが、そこにリスクが潜んでいるという点は意識しておくべきです。
不動産投資に関するその他のリスクについては、後日詳しく取り上げていますが、リターンの裏にはリスクがあるということを理解し、そのリスクを避けつつ、できるだけ失敗しにくい投資を実現していきましょう。
失敗を避けるということは、成功に近づいていくことを意味しています。
不動産投資に失敗する人は、いくつかのタイプがある
不動産投資で成功する人と失敗する人には明確な違いがあります。その違いをあらかじめ把握しておけば、どのような投資を行えばいいのかが見えてきます。
まず、不動産投資に失敗する人の特徴についてです。不動産投資で失敗する人には、いくつかのタイプがあります。
一つ目は、「他人の話を鵜呑みにしてしまうケース」です。不動産投資業者の営業マンやその他の関係者、さらには知人や友人の話を真に受けて不動産投資を始めてしまうと、失敗する可能性が高まります。
では、なぜ他人の話を鵜呑みにすると失敗してしまうのか。その理由は、不動産投資の仕組みとその全体像を正確に理解していないため、何が正しくて何が正しくないのかを自分の頭で判断できなくなってしまうからです。
これは不動産投資に限った話ではありませんが、自分の頭で判断できないものは非常に危険です。最終的に、他人のいいなりになって物事を進めざるを得ないためです。それでは、他人の利益を中心に投資が行われてしまっても仕方ありません。
本来であれば、投資判断は自分で行うべきです。他人の意見を参考にすることはあっても、最終的な判断を自分で行えるだけの知識がなければ、自分のペースで投資を行うことはできません。それでは、成功確率が高まるはずがありません。
二つ目は、「短期的な思考で投資をしてしまうケース」です。そもそも不動産投資は、中長期的な不動産の運用がベースとなっています。もちろん1年以内という短期で売却することもありますが、それはあくまでも例外であり、基本は中長期で物件を保有します。
そうなると、短期的な思考ではなく中長期的に物事を考えていく必要があります。「向こう5年間の市況はどうなるか?」「経済や社会にどのような変化が生じるか?」「この不動産を保有することで資産状況はどうなるか?」などです。
こうした視点を持たないまま不動産投資をすると、自分が保有している物件の状況を正確に把握することができません。その結果、近視眼的な視点で投資判断をすることになり、チャンスを逃したり失敗したりすることになりかねないわけです。
つまり、不動産投資に成功している人というのは、不動産投資の仕組みをきちんと勉強し、理解し、そのうえで自分の頭で考えられる人といえるでしょう。加えて常に勉強することを怠らず、情報収集にも余念がないことも大切です。不動産投資を取り巻く状況は常に一定であるとは限りません。むしろ状況は、時々刻々と変化していくのが普通です。その変化についてもチェックしておく必要があります。
このように考えると、不動産投資の勉強をして仕組みを理解している人こそが不動産投資に成功しているのだとわかります。そしてその点を徹底できるかどうかが、不動産投資の成否を分けることになるのです。
どこまで真摯に、どこまで真剣に取り組めるかが、自分自身の資産状況を左右することになります。その点を意識し成功する人になりましょう。