まずは「移動平均線」で相場のトレンドや方向性を探る
チャートによる分析は奥深い世界で、知識と経験によって、どこまでも深掘りすることができます。突き詰めるほどに様々な分析が可能となりますが、株主優待銘柄をターゲットとする本連載では、ベーシックなポイントについて触れておくこととします。
チャートを分析する上で、まず押さえておくべきは、移動平均線です。移動平均線はテクニカル分析の中でも多くの人に使われる指標です。
一定期間の終値の平均値を線で表し、相場のトレンドや方向性を見る指標です。株価の移動平均値を使うことから、日々の株価のバランスが平準化され、株価そのものを追うよりも方向性が探りやすくなります。
長期の値動きを把握するには月足、中期では週足、短期では日足といった具合に、表示する期間を変えてトレンドを見極めます。また、日足の中でも5日、25日、75日、200日と、取引の期間や把握したいトレンド期間に合わせて設定を変えて利用します。
複数の移動平均線を利用する分析方法も一般的です。日足なら5日線と25日線、あるいは75日線と200日線などです。複数線を利用して、ゴールデンクロスやデッドクロスなどを見極めて売買シグナルを測ることができます。
ゴールデンクロスは長期線が上昇中、あるいは横ばい傾向の時、短期線が下から上に突き抜けた時に買いのシグナルと見ます。その反対がデッドクロスです。
「MACD」で売買タイミングをより早く読み取る
移動平均線に似たトレンドフォロー系の指標にMACD(移動平均収束拡散法)があります。
移動平均線で一般的に利用される単純移動平均線よりも、直近の価格に重みを置いた指数平滑移動平均線を利用して、売買タイミングを早く読み取ることができる分析方法です。
MACDの0の値を中心として、0よりもプラスの位置から右肩上がりとなっていれば上昇トレンド、反対は下降トレンドなどと判断します。また、移動平均線と同様に2本のラインの交差で買い時と売り時を判断します。
下記図表のキリンホールディングス(2503)もMACDがクロスしてから、その後、移動平均線もクロスする値動きにつながっています。直近の価格の影響度を高めることで、単純移動平均線よりも売買タイミングを早くつかむことができる特徴が読み取れます。
[図表]キリンHD(2503)日足チャート
移動平均線の分析において、株価の終値が移動平均線とどれくらい乖離しているかを見るのもポイントの一つです。
株価が移動平均線よりも上下に大きく乖離した状態は、株価も上下に行き過ぎている可能性を表し、買われ過ぎ、売られ過ぎの過熱感を判断します。株価と移動平均線が乖離し過ぎると、移動平均線の方向に修正される動きが見られます。
たとえば、5日移動平均線乖離率がプラスマイナス5%以上になったら、短期的に買われ過ぎ、売られ過ぎというサインが出ていると読み取れます。こうしたサインをもとに、売買の判断の一つにつなげます。
テクニカル系の指標はご紹介した以外にも様々な分析方法があります。その時の相場状況や銘柄に合った分析方法をうまく使い分けることをお勧めします。
人気優待銘柄は長期でチャートを表示させると、特徴をつかみやすくなります。特に権利付最終日前後の動きを分析し、過去の値動きから銘柄独自のパターンや特徴を見分けて売買タイミングを把握しておくことで勝率がアップするはずです。