どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、JR東海道線や小田急江ノ島線、江ノ島電鉄の接続駅「藤沢」駅。

「湘南ってどこまで?」問題の中心の街、藤沢

「藤沢」駅は、神奈川県藤沢市に位置する、JR東海道線と小田急江ノ島線、江ノ島電鉄の接続駅です。JR駅の1日の乗車人数は11万人弱、小田急線駅の乗降客数は16.5万人強、江ノ島電鉄の乗降客数は2.3万人ほどです。

 

藤沢という地名の由来には、藤の多い水辺の地だったから、源頼朝の家臣・藤沢次郎清親の居住地だったから、淵や沢の多い土地だったから、など、諸説ありますが、藤沢市では「淵沢」が「藤沢」に転化したした説を妥当としています。

 

また藤沢といえば、度々論争となる「どこまでが湘南か」の渦中にあるエリアです。人気のビーチリゾートでイメージもいいので、どこもかしこも「湘南」と冠に付けたがる結果、「ここも湘南!?」という現象が起こっているようです。

 

そもそも湘南は、中国にある景勝地・湘江の南を指す名称。鎌倉時代、国内初の禅寺「建長寺」や「円覚寺」を擁した鎌倉周辺の地域を、中国・湘南にちなんで呼ばれるようになったとか。

 

また江戸時代の初期に、日本三大俳諧道場のひとつ、鴫立庵が大磯町に建てられた際に、石碑に「著盡湘南清絶地」(=大磯の景色は湘南に似て素晴らしいの意)と刻んだことから、湘南発祥の地として有力視されています。

 

 

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さらに神奈川の海の魅力を世界に発信する、県主導のプロジェクト「かながわシープロジェクト Feel SHONAN」では、『湯河原から三浦までの相模湾沿岸を「湘南」と呼びます!』としています。東京湾沿い以外の神奈川の海を、湘南として売り出そうという、少々乱暴なプロジェクトでありますが、湘南=江ノ島を有する藤沢は、湘南から外れることはないでしょう。

 

「藤沢」駅は、そんな湘南の海岸から3キロほど内陸に位置するので、駅を降りた瞬間、「海にきたー」という高揚感を覚えることはありません。湘南への玄関口として、明らかにこれから海に行くであろう観光客が多いのは事実です。

 

駅周辺は、人口40万人都市にふさわしく、「さいか屋」「小田急湘南ゲート」「湘南藤沢オーパ」などの百貨店や商業ビルが林立。「ビックカメラ」や「イトーヨーカドー」、「ダイエー」、「ドン・キホーテ」など、買い物に便利な量販店、大型スーパーも集積し、遠方からの来訪者も。

 

ただ「藤沢」周辺には、丸井や西武など、都内でもお馴染みの百貨店がかつてありましたが、撤退したという経緯があります。百貨店ビジネスの限界という背景もありますが、ここ藤沢でも中心市街地の空洞化と心配されたことがありました。しかし周辺に14を数える商店街が中心となって活性化に努めていることもあり、湘南地域随一のにぎわいを保ち続けています。

 

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