今回は、相続税を納めるべきタイミングについてみていきます。 ※本連載は、不動産コンサルタントとして活躍し、自身も賃貸経営を行っている山口智輝氏の新刊で、2015年11月に刊行された『大家業を引き継ぐあなたへ』(セルバ出版)の中から一部を抜粋し、大家業の引き継ぎを成功させるノウハウなどをご紹介します。

相続税は10か月以内の現金納付が原則

納税資金対策としては、10か月以内に相続税を現金納付することが原則ですので、納付期限までに、どのようにして納税資金を用意することができるかが大事になります。まず、十分な預貯金があればいいのですが、ない場合は、生命保険に加入しておきます。死後保険金で払えるようしておきます。また、相続発生後に不動産を処分して納税資金にするというのも1つです。

 

ここで注意していただきたいのが、10か月以内に売却し、納税するというのは、効率よく進めないと間に合わないということです。相続が発生してからどの土地を売却しようと考えていたのでは、間に合いません。また、隣地との境界が確定していないと売ることもできません。そして、立地や敷地の大きさも考慮する必要があります。

 

住宅地であれば、地域により売れやすい大きさが決まっています。例えば、300坪の土地を普通のサラリーマンは買いません。最近は、法人も土地を所有するのではなく、定期借地が多くなっているので、地方だと分譲デベロッパーくらいしか買いません。分譲デベロッパーは、少しでも安く仕入れ、少しでも高く売ることで利益が出ます。そのため、必ず売却理由を調べます。

 

相続であれば、相続人に期限がありますので、安く仕入れることができるのです。期限が迫り狼狽売りしないように、売る土地を明確にし、売れる状態で保有することが大事です。なお、売却予定地に賃貸アパートを建ててはダメです。賃貸アパートを売りに出すと、利回りからの逆算で値決めされるので、安くなってしまいます。

予測不可能だからこそ早めの対策開始が重要に

相続対策は、いつしたらいいのでしょうか。被相続人の寿命がわかれば、それに間に合うように対策すればいいのですが、その日時は誰にもわかりません。また、寿命だけでなく、認知症の問題があります。認知症になってしまうと、資産の組み換え、贈与、遺言等、ほぼ生前の相続対策はできなくなります。

 

以前は、認知症になった相続人の手を持って融資書類に署名したという話(あくまでも噂です)もありましたが、コンプライアンスの厳しくなった現在では、意思確認と本人による署名、捺印を複数人で確認することが必須になっています。時間をかけて後見人をたてる方法もありますが、残された家族にとってメリットがある対策でも、被相続人のとって明確なメリットがない対策は、後見人がいても認められないことが多いようです。

 

また、柔道の有段者で健康そのものだった方が、ある朝、いつまでたっても起きてこないので、家族が見に行くと脳梗塞で亡くなっていたというような、誰よりも長生きしそうな方が突然亡くなる例は少なくありません。もちろん、相続対策は全くしていませんでした。他にも、高齢者の状況判断が鈍ってくると自動車の運転で、事故を起こしやすくなります。相続の発生時期がわからない以上、少しでも早く、取りかかることが大事なのではないでしょうか。

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    本連載は、2015年11月20日刊行の書籍『大家業を引き継ぐあなたへ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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