どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、JR京浜東北線、東海道線、湘南モノレールなどが乗り入れる「大船」駅。

観音様が見守る「大船」鎌倉ブランドは関係なし?

「大船」駅は、神奈川県鎌倉市に位置し、京浜東北線や東海道線、横須賀線などJRの各線と、湘南モノレールの接続駅です。横浜市と鎌倉市の境界にあり、駅の一部は横浜市になります。JR駅の1日の乗車人数は10万人弱、湘南モノレールの乗降車数は3万人弱です。

 

大船という地名の由来は、昔、粟積み船が出入りしていたため、「粟船」と書いて「おおふな」と読んだと伝えられています。

 

鉄道が開業すると、交通の要所として発展。三菱電機や資生堂、芝浦メカトロニクスなどの工場が立地し工場地域としての顔を持つようになりました。また戦前、松竹の撮影所が蒲田から移り、さまざまな作品がこの地から生まれました。映画関係者が付近に住居を構えたことから、住宅地としても人気が高まったといいます。1990年代に撮影所は閉鎖され、その跡地は鎌倉女子大学大船キャンパスになっています。

 

もう一つ、大船で印象深いできごとが、「ドリーム交通モノレール大船線」。1964年、横浜市戸塚区に開園した遊園地「横浜ドリームランド」への利便性を図ることに開業したモノレールです。しかし開業後、車両や橋脚などに問題が見つかり、わずか1年強で休止。そのまま一度も再開せず、2003年に正式に廃止されたという、幻のモノレールです。ちなみに「横浜ドリームランド」も2002年に閉園しており、跡地には横浜薬科大学や俣野公園、市営墓地などが作られています。

 

 

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では駅周辺を見ていきましょう。駅西口は、前述の「大船観音」を望む側。すぐに丘陵地帯が迫っているので、市街地は駅の反対側、東口に広がっています。駅ビルには商業施設「大船ルミネウィング」。人気のアパレル店や「ユニクロ」「無印良品」などのお馴染みの店が揃い、使い勝手の良さが魅力です。

 

駅前に広がる「大船仲通商店街」は、下町風情たっぷりの商店街で、威勢のいいかけ声が響き渡ります。また「ユザワヤ」や「ヤマダ電機」なども入居する「西友」や「ドン・キホーテ」などもあり、わざわざ横浜方面に出ていかなくても、ある程度のことであれば大船で事足りるでしょう。

 

住所は鎌倉市ですが、駅周辺に古都の雰囲気はまったくありません。電車の行き先で「大船」とよく見るから、知ってはいるけど、降りたことはない。街を見下ろす全長25mの「大船観音」が現れて、ここが大船であることを認識する人も多いでしょう。地味な印象を覚える街です。

 

とはいえ、住みやすさを優先させるなら、鎌倉よりも大船のほうが現実的でおすすめという人は多いものです。確かに鎌倉は神社仏閣が点在し、情緒豊かで、一度は住んでみたいと思わせる雰囲気をもっています。しかし昨今は観光客であふれ、生活に支障が生じるほどとなっており、問題も多数発生しています。

 

街のシンボル!?
実はこちらの観音様、胸部から下はありません。

 

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