日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、別居中の夫婦に訪れたトラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。
解説:遺言書の有無が遺産分割の出発点
遺産の分け方は非常にシンプルです。遺言書があればその通りに遺産を分け、遺言書がない場合には法定相続人全員での話し合いによって遺産の分け方を決めていくことになります。
事例では、遺言書がなかったので、法定相続人全員で話し合いをして遺産の分け方を決めていきます。
法定相続人は誰がなれるのでしょうか。まず配偶者は必ず法定相続人になります。配偶者以外の法定相続人には優先順位があり、第1順位の法定相続人は子供です。子供がいない場合には、第2順位の直系尊属である父母に進みます。そして子も父母もいない場合には、第3順位の兄弟姉妹に進みます。
今回の事例では、配偶者とその子供です。姉と妹は法定相続人にはなりません。
相続人ではない人に遺産を残したいのなら、遺言書が有効です。遺言書に遺志を綴れば、法定相続人以外にも遺産を残すことができます。Aさんの介護に力を尽くしてくれた姉と妹にも財産を残したいのであれば、遺言書を残すべきでした。
遺言書で法定相続人以外に財産を残そうとする際に気を付けるべきは、遺留分です。遺留分とは、「亡くなった人の家族が今後の生活に困らないようにするために、必要最低限の金額は相続できるようにするための制度」です。その金額の目安は、法定相続分の半分。どんなに遺言書にしようと、法定相続人は、法定相続分の半分を遺留分として請求できるので、注意が必要です。
【動画/筆者が「遺言書の基本」について分かりやすく解説】
橘慶太
円満相続税理士法人
円満相続税理士法人
代表 税理士
大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(法人税法の公開模試では全国1位)し、大学卒業前から国内最大手の税理士法人に正社員として入社する。
勤務税理士時代は相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手掛けた相続税申告は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算400件以上。また、銀行や証券会社を中心に、年間130回以上の相続税セミナーの講師を務め、27歳という若さで管理職に抜擢される。
2017年1月に独立開業し、現在7名の相続専門税理士が在籍する円満相続税理士法人の代表を務める。週刊ポストや日本経済新聞、幻冬舎、女性自身など、様々メディアから取材を受けている。また、自身で運営しているYouTubeのチャンネル登録者は6万人を超えており、相続分野では日本一のチャンネルに成長している。
円満相続税理士法人:https://osd-souzoku.jp/
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