麻痺の残ったAさんを、姉と妹が支えたが…
そんなある日、Aさんにさらなる不幸が訪れます。突然、病魔がAさんを襲い、病院に救急搬送されたのです。一報を聞きつけて、急いで病院に駆けつけたAさんの姉と妹。Aさんは一命をとりとめましたが、麻痺が残る可能性が高い、という話でした。
姉と妹は、まずはほっとひと息。そして黙っておくわけにはいかないと、Aさんの妻にも連絡をとろうと試みました。しかし留守番電話。メッセージを入れて折り返しを待てど、いつまでも電話はならず……。連絡がつながったのは、Aさんが救急搬送されて3日経ってからでした。「なんで病院に駆けつけないんだ!」と非難したAさんの姉に対して、「別居中だから」と理由を述べた妻。
「これまで散々、金銭面でサポートしてもらっているくせに、何、あの態度!」
意識を取り戻したAさんに、Aさんの姉と妹は離婚を進めましたが、それでもAさんは首を縦にふることはなかったっといいます。
数ヵ月後、Aさんは退院しましたが、麻痺は残り、介護を必要としました。そこで姉と妹はAさんの自宅に引越し、Aさんのサポートをするようになったのです。そんな生活も長くは続かず、Aさんは病気を再発。今度は手のほどこしようがなく、Aさんは旅立っていきました。
葬儀では当たり前のようにAさんの妻が喪主を務めました。そんな姿を見て、姉と妹ははらわたが煮えくり返る思いだったといいます。そして葬儀の後、いよいよ怒りが爆発します。
妻「ありがとうございました。お姉さんたち」
Aさんの妻が、姉と妹に話しかけてきました。まさか話しかけてくるとは思わなかった姉と妹は、ビックリしたといいます。
妻「本来なら、Aの介護も妻である私がするべきでしたが、別居中の身なので」
姉妹「……(そもそも別居の理由は、あんなの不倫でしょ!)」
妻「明日にでも、自宅に戻りますので」
姉妹「えっ!?」
妻「遺品整理とか、相続の手続きとか、色々しなければいけないことがありますので」
姉「ちょっと、何よ、いまさら!」
妻「だって私、Aの妻ですし」
妹「今になって、妻ですって……どういう神経しているのよ!」
妻「当然の権利なんで。口を挟まないでくれますか」
姉妹「ほんと、なんて人なの、あんたって人は!」
どんなにあがいても、Aとその妻が、夫婦であったことに変わりはなく、Aさんの遺産は妻と子供のもの。「無理やりにでも、離婚させればよかった……」と、姉妹は悔やんでいました。