日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、別居中の夫婦に訪れたトラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

麻痺の残ったAさんを、姉と妹が支えたが…

そんなある日、Aさんにさらなる不幸が訪れます。突然、病魔がAさんを襲い、病院に救急搬送されたのです。一報を聞きつけて、急いで病院に駆けつけたAさんの姉と妹。Aさんは一命をとりとめましたが、麻痺が残る可能性が高い、という話でした。

 

姉と妹は、まずはほっとひと息。そして黙っておくわけにはいかないと、Aさんの妻にも連絡をとろうと試みました。しかし留守番電話。メッセージを入れて折り返しを待てど、いつまでも電話はならず……。連絡がつながったのは、Aさんが救急搬送されて3日経ってからでした。「なんで病院に駆けつけないんだ!」と非難したAさんの姉に対して、「別居中だから」と理由を述べた妻。

 

「これまで散々、金銭面でサポートしてもらっているくせに、何、あの態度!」

 

意識を取り戻したAさんに、Aさんの姉と妹は離婚を進めましたが、それでもAさんは首を縦にふることはなかったっといいます。

 

数ヵ月後、Aさんは退院しましたが、麻痺は残り、介護を必要としました。そこで姉と妹はAさんの自宅に引越し、Aさんのサポートをするようになったのです。そんな生活も長くは続かず、Aさんは病気を再発。今度は手のほどこしようがなく、Aさんは旅立っていきました。

 

葬儀では当たり前のようにAさんの妻が喪主を務めました。そんな姿を見て、姉と妹ははらわたが煮えくり返る思いだったといいます。そして葬儀の後、いよいよ怒りが爆発します。

 

妻「ありがとうございました。お姉さんたち」

 

Aさんの妻が、姉と妹に話しかけてきました。まさか話しかけてくるとは思わなかった姉と妹は、ビックリしたといいます。

 

妻「本来なら、Aの介護も妻である私がするべきでしたが、別居中の身なので」

 

姉妹「……(そもそも別居の理由は、あんなの不倫でしょ!)」

 

妻「明日にでも、自宅に戻りますので」

 

姉妹「えっ!?」

 

妻「遺品整理とか、相続の手続きとか、色々しなければいけないことがありますので」

 

姉「ちょっと、何よ、いまさら!」

 

妻「だって私、Aの妻ですし」

 

妹「今になって、妻ですって……どういう神経しているのよ!」

 

妻「当然の権利なんで。口を挟まないでくれますか」

 

姉妹「ほんと、なんて人なの、あんたって人は!」

 

どんなにあがいても、Aとその妻が、夫婦であったことに変わりはなく、Aさんの遺産は妻と子供のもの。「無理やりにでも、離婚させればよかった……」と、姉妹は悔やんでいました。

 

なんで、なんで、なんで
なんで、なんで、なんで

 

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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