ドクターにもマネーリテラシーが必要だ
働き方改革、年金75歳支給など社会保障に関する国の施策に大きな転換がなされようとしているいま、医師を取りまく環境も大きく変化しつつあります。
50代以上の方々は、医師は高給で裕福というイメージをお持ちの方が多くいらっしゃいます。しかし、そのイメージはもはや通用しなくなっているのです。
働き方改革で労働時間が制限される可能性があるので、当然いままでよりも収入が減ることになります。また、地方では経営が苦しい病院の統廃合が進められて、働き場所が少なくなり、収入確保の道が閉ざされます。
さらに、医療のIT化が進めば、いままで医師がやっていたことの一部をITに任せることによって仕事量が減り、それは当然労働時間減、収入減につながります。そのうえ、最近の世の中は病気にならないようにという予防医療の知識が広がって、「医者いらず」の傾向も出てきています。今後は増えすぎた医師や病院の需要が減って、医療業界も厳しい時代が訪れようとしています。
もう「医師=高給」というイメージは昔のものになりつつあるのです。実際、最近の若い医学生や研修医に話を聞くと、将来、収入が減っても安定して生活ができるように、足固めを始めている方も多いようです。そして、先輩の働き蜂のような仕事ぶりを見て、「あのように働けるか不安」という声もよく耳にします。
ところが、将来の危機意識を持っている方があまりいらっしゃらないのが現状です。なぜなら本業に集中するあまり、他のことに関心を持っていない方が多いからです。これからの医師には、医療の専門知識とマネーリテラシーがどちらも求められると私は思います。若い医師の方々には、ぜひ早いうちから資産形成の知識を身につけることをおすすめします。
大見貴秀
大見医院院長
植田幸
資産コンサルタント 宅地建物取引士 AFP(日本FP協会認定)