前回は、事業のハード面の引き継ぎを中心とするマニュアル作成について説明しました。今回は、最適な後継者の選び方などを見ていきましょう。

業務内容と合致する事業承継のパターンを選定

【その4:誰に引き継ぐか決める】

マニュアルが準備できたら、次に後継者を定めます。より最適な相手を選ぶためには、自社に適した事業継承の方法を選ぶ必要があります。筆者は事業継承をわかりやすく基本的な6つのパターンに分類しました。まずは基本の事業継承のパターンから理解していきましょう。

 

<事業継承のパターン>

●ベンチャー型

法人の形態・屋号・事業内容を一新し、会社として新たに生まれ変わる引き継ぎ方法

 

匠型

仕事ができる幹部社員に事業を継承し、今までの路線をしっかり継承していく方法

 

後見型

後継者に事業と人脈を少しずつ継承し、安定した経営ができるようになるまで見守っていく方法

 

補佐官型

ある分野にだけ秀でた能力特化型人材が候補となった場合、足りない能力を補うために有能な補佐官をつけてから継承する方法

 

戦略型

業務分野ごとに事業を分割して分社化し、それぞれがより利益を出せるように戦略を練って行う引き継ぎ方法

 

司令塔型

自らの強力なリーダーシップのもとで後継者を指名し、周囲の人間を納得させてから行う引き継ぎ方法

 

このような中から、自分とその後継者、そして業務内容にマッチした引き継ぎ方法を検討していくことになりますが、マッチングのためには、自分だけではなく相手がどんなタイプであるかも知らなければいけません。

 

ここで、本連載の第2回で説明した「経営者としてのタイプと役割分析」を思い出してください。自らがどのような経営者であるかはそこで明らかになっているので、今度は後継者候補に同じ分析をあてはめ、客観的にどんな経営者になりそうかを判断します。そして、導き出されたタイプを総合して、自分とその後継者候補がどう違うのかを具体的に明確にします。

 

次回は、経営者タイプと職種タイプの相性について分析するとともに、スムーズな「事業継承のパターン」についてまとめておきます。

本連載は、2015年10月25日刊行の書籍『たった半年で次期社長を育てる方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

たった半年で次期社長を育てる方法

たった半年で次期社長を育てる方法

和田 哲幸

幻冬舎メディアコンサルティング

中小企業は今後10年間、本格的な代替わりの時期を迎えます。 帝国データバンクによると、日本の社長の平均年齢は2013年で58.9歳、1990年と比べて約5歳上昇しました。今後こうした社長たちが引退適齢期に突入します。もっと平…

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