投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

「タックスヘイブン」を使って、節税・秘匿性確保はできるのか?
 「海外法人」の設立法・活用法 
>>>11/12(火)LIVE配信

 

コロナ危機による供給ショックは、都市封鎖や外出自粛によって個人の所得と消費機会を奪う点で、(天災等による)一般的な供給ショックと大きく異なる。当面は供給不足によるインフレ圧力よりも、需要消失によるデフレ圧力のほうが影響が大きくなるだろう。しかし、コロナ危機が終息した後は状況が一変するかもしれない。

「失われた消費」がもたらすデフレ圧力

コロナ危機下の物価動向を見極めるうえで重要なポイントは「失われた消費」だ。今回のコロナ危機は、工場閉鎖や物流/交通網の遮断に加え小売店舗等も休業になるなど、供給ショックに起因する側面が大きい。(天災等による)一時的な供給ショックであれば、供給不足はインフレ圧力につながる。

 

しかし、今回のコロナ危機は需要ショックも発生しており、都市封鎖や外出自粛によって個人の所得と消費機会を奪う特殊性の高い経済ショックでもあるため、「失われた消費(=需要消失)」を鑑みれば短期的にはデフレ圧力が高まるだろう。

 

もちろん、都市封鎖や外出自粛が段階的に解除されれば、先送りされた消費がある程度戻ることも想定されるが、企業も個人も新型コロナの感染再流行を恐れ、しばらくは現金確保に動く可能性がある。投資や消費の減少によってもたらされるデフレ圧力には警戒が必要だ。

世界恐慌時はデフレ、その後は急激にインフレに転換

世界恐慌時(1930年~1933年)における米国のCPI(消費者物価指数)はデフレだった。世界恐慌は供給ショックに起因するものではなかったが、瞬間的な景気悪化のマグニチュードは今回のコロナ危機と近いものがある。CPIが0%を下回った時期は1930年2月から1933年10月、マイナス幅は最大で1932年10月時点の前年同期比-10.7%だ。

 

この長期間に及ぶ強烈なデフレから脱却するきっかけになったのが、ニューディール政策(財政政策)と金本位制の離脱(金融政策)だ。そして、デフレ脱却後はわずか5ヵ月後の1934年3月にCPIは同+5.6%をつけた。大規模な財政政策と金融政策が打ち出された点で今回のコロナ危機と共通する部分もあるが、今回のように経済活動が抑制された中での財政/金融政策による物価への影響は限定的だろう。

 

新型コロナの終息時期は見通せないが、少なくとも終息するまでの期間はデフレ圧力が続き、終息後は蓄積された財政/金融政策効果と抑制された経済活動による反動から、再びインフレ率が高まる可能性があることには留意が必要だろう。

 

月次、前年同期比、季調前、期間:1929年6月~1934年6月 出所:BEA、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国CPI(消費者物価指数) 月次、前年同期比、季調前、期間:1929年6月~1934年6月
出所:BEA、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

年次、市場予想はブルームバーグ集計、2020年4月30日時点 出所:BEA、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国実質GDP成長率と失業率 年次、市場予想はブルームバーグ集計、2020年4月30日時点
出所:BEA、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

四半期、2020年1-3月期は実績、 市場予想はブルームバーグ集計、2020年4月30日時点 出所:BEA、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表3]米国CPI(消費者物価指数)市場予想 四半期、2020年1-3月期は実績、市場予想はブルームバーグ集計、2020年4月30日時点
出所:BEA、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インフレかデフレか?コロナ危機下の物価見通し』を参照)。

 

(2020年5月1日)

 

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/6開催】
インドネシア「バリ島」で不動産を持つ!

 

【11/6開催】不動産オーナーなら
知っておきたい「輸入高級家具」の世界

 

【11/7開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【11/7開催】GAFAM+Nは終わる?
米テクノロジー産業の見通し
2025年に向けた「米国経済・株式市場」
と「米国株」運用術

 

【11/7開催】税負担も軽減!
富裕層だからできる
気軽な「海外プチ移住」の進め方

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録