日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、とある兄と妹の間で生じた相続問題をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

解説:「非嫡出子」も法定相続人になれるのか?

法定相続人について、整理してみましょう。法定相続人とは、民法で定められた相続人のことをいいます。 相続税法上もほぼ同じなので、こちらをベースに理解してもらえれば問題ありません。

 

まず、配偶者は必ず法定相続人になります。内縁関係や事実婚など、戸籍上の配偶者となっていない場合には、その人は法定相続人にはなれません。また法定相続人になるには、婚姻期間は関係ありません。結婚してからすぐに相続が発生しても、遺産を相続する権利は発生します。

 

配偶者以外の法定相続人には、優先順位があります。上の順位の法定相続人がいる場合には、下の順位の人は法定相続人になれません。第1順位の法定相続人は子どもです。前妻、前夫との間であっても、血を分けた子どもであれば法定相続人になります。離婚をすれば前妻前夫は他人なので相続権はありませんが、血を分けた子どもはずっと相続権をもっています。

 

子どもがいない場合には、第2順位に進みます。第2順位の法定相続人は直系尊属である父母です。そして、子供も父母もいない場合には、第3順位に進みます。第3順位の法定相続人は兄弟姉妹です。

 

事例に戻ると、非嫡出子も(法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子ども)も嫡出子(婚姻している父母から生まれた子ども)と同じ相続権をもちます。ですので、事例では6番目の奥さんと3人の子どもが法定相続人となります。

 

妹のA子さんにも財産を残したいのであれば、遺言書に記すのが有効です。その場合、注意したいのが遺留分です。遺留分は、亡くなった人の家族が、今後の生活に困らないようにするために、必要最低限の金額は相続できるようにするための制度です。第3順位の法定相続人である兄弟姉妹にはない権利ですが、第2順位の法定相続人である直系尊属の父母には認められる権利です。遺留分は、法定相続分の半分が目安。遺留分を侵害している遺言書だと、さらなるトラブルを招くことがあるので、注意が必要です。

 

【動画/筆者が「新しい相続の制度」について分かりやすく解説】

 

橘慶太
円満相続税理士法人

 

 

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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