日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、とある兄と妹の間で生じた相続問題をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

「がんなんだ」と兄から突然の告白。さらに……

ある日、兄から「今度の週末、遊びにいっていい? 相談したいことがあって」と連絡がありました。

 

「お兄ちゃんが相談……」

 

珍しいことがあるものだとA子さん。何でも自分で決めて、パッパとやってしまう兄から相談を受けることなんて記憶にありません。少々不安になりながらも、約束の日が訪れました。A子さんの家を訪れた兄は、いつもと変わらぬ様子。50歳というと誰もが驚くくらい、若々しい雰囲気です。そんな兄から、衝撃的な告白がありました。

 

A子さん「えっ、何って!?」

 

兄「だから、がんなんだって、おれ。ステージ4だっていうから、ちょっと危ないかもしれない」

 

A子さん「そんな大変なこと、あっけらかんといわないでよ!」

 

兄「深刻そうにいったって、治るわけじゃないんだから。それより今日、相談したかったのが、相続のことなんだ」

 

A子さん「そうぞく!?」

 

兄「そう。万が一のことが起きる可能性のほうが高いから、今のうちに決めておきたいんだ」

 

A子さん「相続なら、奥さんがいるから心配することないんじゃない!?」

 

兄「まあ、そうなんだけど、あと子どもが……」

 

A子さん「えっ、子どもできたの?」

 

兄「いや、最初の奥さんとの子ども」

 

A子さん「えっ、最初の奥さんとの間に子どもなんていたっけ?」

 

兄「そうなんだ。でも生まれてから、すぐに離婚したから、何となくいうタイミングがなくて」

 

A子さん「いうタイミングなんて、いくらでもあったでしょうに。じゃあ相続はその子どもにも、ということね」

 

兄「いや、もう1人子どもがいて」

 

A子さん「もう……何番目の奥さんの子どもよ?」

 

兄「いや、誰の子どもでもなくて。認知はしていて、もうすぐ20歳だったと思う」

 

A子さん「はあ!? なにやっているのよ。もう子どもなんていないわよね?」

 

兄「実は、もう1人……」

 

結局、A子さんの兄には子どもが3人いることが判明。さらにA子さんにも財産を残すという内容の遺言書をつくるから、事前に知らせておきたかったと兄。A子さんは衝撃的な事実ばかり聞かされて、気持ちを整理するまでに時間を要したといいます。

 

別に、隠していたわけではないんですよ
別に、隠していたわけではないんですよ

 

 

次ページ解説:「非嫡出子」も法定相続人になれるのか?

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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