2019年度は高水準を記録した2018年度に次ぐ水準に
新型コロナウイルスの感染拡大で、エアコンや冷蔵庫など家電製品の売れ行きはどうなのでしょうか。
日本電機工業会(JEMA)ではこのほど、3月度における民生用電気機器の国内出荷実績をまとめました。
3月度の国内出荷金額は2,189億円となり、前年同月比10.4%減と大幅な下振れです。6カ月連続のマイナスで、やはり、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛などの動きが影響したもようです。
併せて、2019年度の国内出荷実績も発表しています。こちらは2兆4,567億円、前年度比0.5%減で5年ぶりのマイナスとなりましたが、おおむね2018年度の水準を確保しました。
2019年7月は天候不順の影響を受けて落ち込みました。しかし、梅雨明けからの猛暑や消費税増税前の駆け込み需要もあり、民生用電気機器全体では高水準を記録した2018年度に次ぐ水準でした。
3月は電気掃除機が6カ月ぶりのプラスとなった
製品別の国内出荷金額をみてみます。2020年3月度ならびに2019年度の主要製品の国内出荷(数量)です。
●ルームエアコン
・2020年3月は90.5万台、前年同月比9.4%減となり、6カ月連続のマイナス。
・2019年度は957.3万台、前年度比2.5%減となり、5年ぶりのマイナス。
※2019年夏は天候不順の影響があったものの、梅雨明けからの猛暑や消費税増税前の需要増もあり、過去最高を記録した2018年度に次ぐ出荷数量となった。
●電気冷蔵庫
・2020年3月は41.4万台、前年同月比11.3%減となり、2カ月連続のマイナス。
・2019年度は387.0万台、前年度比2.1%減となり、5年ぶりのマイナス。
※容量別構成比をみると、大容量クラスへのシフトは鈍化している。
●電気洗濯機
・2020年3月は44.5万台、前年同月比21.5%減となり、4カ月連続のマイナス。
・2019年度は463.8万台、前年度比0.2%減となり、4年ぶりのマイナス。
※全体の約9割強を占める全自動洗濯機は、まとめ洗いや大物洗いへのニーズが高まり、引き続き大容量へとシフトしている。
●電気掃除機
・2020年3月は45.8万台、前年同月比11.0%増となり、6カ月ぶりのプラス。
・2019年度は436.9万台、前年度比8.7%減となり、4年連続のマイナス。
※「縦形(スティック形)」はコードレス化、高機能化、軽量化など、利便性の向上が進んでおり、構成比も拡大している。
●電子レンジ
・2020年3月は36.9万台、前年同月比12.1%減となり、2カ月ぶりのマイナス。
・2019年度は332.3万台、前年度比2.4%減となり、2年連続のマイナス。
※全体の約6割を占める「オーブンレンジ」は減少したが、少人数・高齢者世帯向けの「単機能レンジ」が増加している。
●ジャー炊飯器
・2020年3月は58.3万台、前年同月比2.6%増となり、3カ月連続のプラス。
・2019年度は561.7万台、前年度比3.2%増となり、2年連続のプラス。
※ご飯の食味や食感を追及した高機能製品の市場トレンドは継続している。
●IHクッキングヒーター
・2020年3月は7.1万台、前年同月比5.0%減となり、2カ月連続のマイナス。
・2019年度は78.7万台、前年度比2.1%増となり、5年連続のプラス。
※清掃性や調理機能の向上も進み、堅調に推移している。
3月はもともと引っ越しの多い月であり、それに伴って家電製品を新たに買いそろえる人が多いです。しかし、2020年3月は新型コロナウイルスの影響で引っ越しの数は減少していると考えられます。
それにも関わらず、電気掃除機やジャー炊飯器が売れているのは、テレワーク、リモートワークで在宅勤務者が増えていることが背景にあるといった見方は少なくありません。
ウイルス除去のために高性能の電気掃除機を購入したり、学校の休校で子どもも在宅のため、3食とも家族全員分をつくれるようにジャー炊飯器を新たに買っている人が増えたとの指摘もあるようです。
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