新型コロナウイルスの感染拡大は続いていますが、株式市場の関係者の中には「アフターコロナ」の投資テーマを模索する人も増えつつあるようです。楽観的な見方では、世界経済が7~9月期からリバウンドし、日本企業は2021年度には増益と予想する証券会社もあります。それでは、「コロナ後」に向けて、どのようなところに注目すればよいのでしょうか。

原油はさらなる減産が必要との見方が広がっている

4月15日(水)の東京株式市場では、日経平均株価は反落しています。前日の米国株式市場ではNYダウは大きく上昇しましたが、東京市場では14日(火)の大幅高で織り込み済みであり、むしろ為替相場で米ドル円が円高に振れていることが嫌気されているようです。

 

個別にみると、前日に軟調な値動きだった空運株が上昇している一方で、鉱業セクター(石油株)が下げています。これは原油価格の下落が背景にあり、WTI原油(NY原油)は再び20ドル台まで下落してきました。「OPECプラス」で日量970万バレルの減産を行うことが決まりましたが、これでは足りず、さらなる減産が必要との見方がマーケットに広がっているようです。

 

材料のあるところでは、第1四半期決算が好調で、自社株買いも発表した串カツ田中ホールディングスが急騰している一方で、広告の不振で業績予想の下方修正を発表した動画配信のUUUMあたりは急落しています。

 

4月に入ってから決算を発表した銘柄については、比較的素直に株価が反応しているようです。新型コロナウイルスの問題で先行き不透明感が強い中、「深読み」、「裏読み」をするのはリスクがあり、「今回ばかりは、会社発表を信じるしかない」と考える人が多いためと、市場関係者から聞かれます。

コロナが一服するまで、不安定な相場が続きそう

ただ、株式市場全体のすう勢としては、新型コロナウイルスの感染防止で出勤している金融関係者が限られ、薄商いの中、ポジション調整や短期(超短期)売買で上下に振れているだけというのが正直なところです。前日に大きく上げたものが利食いで早くも売られ、逆に下げていたものには値ごろ感から買いが入っている印象です。

 

新型コロナウイルスの騒動が一服し、年金や投資信託、機関投資家(大口投資家)の資金が本格的に入ってくるまでは、短期(超短期)のトレーダーや個人投資家、投機筋による売買で上下に振れやすい、不安定な相場が続きそうです。

 

2月期企業の決算発表は14日(火)で一巡しましたが、この間にはソフトバンググループのような3月期企業の業績見通しの下方修正、あるいは決算発表の延期も伝えられています。これらのニュースにいったんは株価が神経質に反応しましたが、徐々に「耐性」がついてきたとみられ、値を戻す銘柄も散見されます。

 

この点で、5月にかけて、新年度の業績見通しを非開示とする企業が相次ぐとみられますが、株価の反応は限定的となるかもしれません。このような状況では致し方ないとのムードが強まっているほか、あるいは「いい加減な見通しを出すよりは…」と理解を示す人も増えているようです。

「コロナ後」の経済の回復はそう遠くはない!?

ここにきて、今回の「コロナ相場」はかつての「リーマン・ショック」などとは違って外的要因が原因であり、金融システムに不安があるわけではないため、新型コロナウイルスの感染拡大が止まれば、経済の回復はそう遠くはないと考える市場関係者が増えてきているようです。

 

もちろん、これは楽観的な見方をするブル(強気)派の人であり、正反対に「世界恐慌以来のショックで、立ち上がりには時間を要する」と考えるベア(弱気)派の人もいます。

 

ある外資系証券では「日本株ベストアイデア(特別号)」と題したレポートの中で、「今後の世界経済については7~9月期からリバウンドするものの、回復軌道はV字型よりもU字型になりやすい」との見方を示しています。日本企業については「2020年度は大幅減益だが、2021年度は増益」と予想しています。

 

株価は上昇基調をたどるが、低金利の環境も続くとの見方を示したうえで、従来から成長が見込まれていたシステム投資や5G(第5世代移動通信システム)の投資が進むと予想しています。投資テーマとしては「eコマース」、「キャッシュレス」、「自動化」、「働き方改革関連」の有用性がいっそう増すとみているようです。

 

この中で「働き方改革関連」は、多くの証券会社のレポートにおいて、「アフターコロナ」の投資テーマとして、やはり挙げられています。今回の外出自粛要請に伴って進んだ「リモートワーク」や「テレワーク」はコロナ終息後も残るとみる向きは強く、大企業だけでなく、中小企業にも広がりそうです。在宅勤務は、投資テーマとして「鉄板」との指摘が聞かれます。

 

4月15日は年金支給日だが、多くの人が金融機関に集まると新型コロナウイルスの感染リスクが高まるため、注意したい。
4月15日は年金支給日だが、多くの人が金融機関に集まると新型コロナウイルスの感染リスクが高まるため、注意したい。

 

ただ、あくまでも新型コロナウイルスの感染拡大を止めることが重要です。そうしなければ、経済の回復も後ズレしてしまいます。

 

本日、4月15日(水)は年金支給日ですが、多くの人が銀行や信用金庫に押し寄せると「三密」の中の「密集」となり、感染リスクが高まります。とりわけ、年金を受給されているような方は何らかの疾患のある人が多いため、感染してしまうと重症化する可能性があると、金融機関や地方自治体などが注意を喚起しています。

 

急な出費がない方は日にちをずらすとか、ATMコーナーを覗いて混雑していないときにするとか、「密集」を避けるようにしましょう。

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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