ジョンソン首相がコロナから回復も…英ポンド円の戻りは一服か

新型コロナウイルスの問題で乱高下となった為替相場ですが、主要通貨は値動きが落ち着いてきました。米ドル円はこのところ、値動きが小さくなっています。一方、英ポンド円は急落後にリバウンドを続けていましたが、このまま上昇が続くのでしょうか。テクニカル、ファンダメンタルズの面から今後の値動きを考えてみます。

為替市場では「コロナ相場」に落ち着きがみられ始めた

2月から3月にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大でリスク回避ムードが一気に高まり、世界中の金融マーケットが大きく動きました。為替相場も例外ではなく、当初は「リスク回避の円買い」という言葉の通り、日本円がどの通貨ペアに対しても選好されましたが、ある時期になると「戦争モード」のようになり、「有事のドル買い」となって、今度は米ドルが全面高となりました。

 

ただ、世界中の中央銀行が「リーマン・ショック」の際の混乱を教訓に、利下げしたり、資金供給枠を設定したりと早めに協調して対応したため、3月の中旬あたりには市場の動揺が落ち着きました。

 

新型コロナウイルスの問題は現在進行中の話ですが、金融当局による先手、かつ市場予想を超える規模での金融緩和が奏功したと言えます。

 

英国の通貨「ポンド」は値動きが激しいことで知られる。
英国の通貨「ポンド」は値動きが激しいことで知られる。

 

もちろん、新型コロナウイルスの感染拡大がいつ止まるのか、それとも続いていくのかといったことは誰にもわかりません。新たな局面を迎えて、マーケットに織り込み切れていない材料が浮上するリスクとか、かつてのスペイン風邪のように、いったん落ち着いても第2波、第3波とピークがやってくるかもしれません。

 

この点で、今は楽観的な見方であるブル(強気)派の人からすれば「アフターコロナ」の展開を探る局面であり、反対にベア(弱気)派の人からすれば「次なる恐怖」に備える局面ということでしょう。いずれにせよ、今後を見極める時期のようです。

英ポンド円はここからグングン上昇していくか?

次の展開を見極める局面ということは、相場の動きがこう着してくることになります。ポジションを一方向に傾けづらく、買ってもすぐに売り、売ってもすぐに買い戻し、これでは値動きに方向感が出ません。

 

その代表が米ドル円でしょう。一時期は10円の値幅で乱高下しましたが、このところは107円~109円のレンジで上下に振れているだけです。その幅も徐々に小さくなってきました。

 

そうなると、為替のトレーダーが手がけたくなるのが英ポンドです。古くからの投資家であれば、英ポンドは「暴れ馬」とか「殺人通貨(悪魔の通貨)」のような表現を耳にしたことがあるかもしれません。

 

英ポンドは値動きが荒く、大きなボラティリティ(変動幅)で短時間に動く傾向があります。少し目を離しているうちにトレンドが逆転して、しかも大きく動いているといったことが頻繁にあります。

 

トイレに行ったり、タバコを吸っているような短時間のうちに、資金が枯渇したというような人もいるため、上記のような表現で呼ばれています。

 

英ポンド円・日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
英ポンド円・日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

英ポンドはここ数年、EUからの離脱問題という大きなテーマがあり、そのニュースや思惑で、大きく上下に振れました。

 

そして、EUからの離脱問題にようやく決着がついたと思ったら、今度は新型コロナウイルスの問題です。とりわけ、同国のジョンソン首相が感染したということで、他の通貨よりも材料視されやすいようです。

 

そのジョンソン首相ですが、一時は重病と報じられましたが、回復して集中治療室から一般病棟に移り、退院しました。これが好感され、英ポンドは戻り基調です。

 

しかし、ここからグングン上昇していくかとなれば、難しいかもしれません。英国はもともと、新型コロナの騒動の前からリセッション(景気後退)に入っていたとの見方は根強く、当局による多少の金融政策、財政政策では効果が薄いという指摘もあります。何よりも、EUから離脱し、その後の経済(景気)に対する見通しが立ちません。

 

テクニカル的にも、チャートポイントに差し掛かってきました。急落前の145円から125円割れまでの下落分の半値戻しを達成し、リバウンドに一服感が出る可能性があります。また、135円台は2019年秋の反発局面で上値を阻まれた水準でもあります。

 

テクニカル面、景気動向、EU離脱後の動向と、英ポンドに関しては、他の通貨よりもチェックすべきことが多く、先行きの見通しは不透明です。短期(超短期)売買のトレーダー以外は、売買を控える方が得策なのかもしれません。

 

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