駅周辺の家賃相場は9万円超え「駅チカに住む」は幻
「笹塚」駅は、京王線「新宿」駅からひと駅目(「新線新宿」駅からなら3駅目)の急行停車駅です。新宿方面に向かう電車は「笹塚」駅を出ると、京王線終着駅の「新宿」に向かう電車と、「新線新宿」駅から都営新宿線に乗り入れる電車にわかれます。1日の平均乗降客数は8万人強。一時期、周辺の再開発事業などの影響で乗降客数は落ち込みましたが、現在は再び増加傾向にあります。
駅南口を出ると、右手にあるのが、再開発事業で2015年に誕生した「メルクマール京王笹塚」。地上21階、高さ93メートルの複合ビルで、笹塚の新しいランドマーク的な存在です。ビルには39店舗で構成されている商業施設「frente SASAZUKA」や、「渋谷区立笹塚図書館」などの公共施設が入っています。
メルマーク京王笹塚の対面にあるのが「笹塚ショッピングモール21」。レトロな雰囲気がする商業施設で、高級スーパー「クイーンズ伊勢丹 笹塚店」や「紀伊國屋書店」など、多彩なテナントが揃っています。
また「笹塚」駅周辺で特徴的なのが、京王新線の隣駅「幡ヶ谷」駅含めて、商店街が充実したエリアであること。駅を出てすぐにあるのが「京王クラウン街」。京王線の線路ガード下にある商店街で飲食店、雑貨店などが豊富に揃います。駅北口すぐにあるのが「笹塚大通り商店街」で、テレビでもたびたび紹介される「スイーツハウス」はメロンパンが有名な洋菓子店です。
さらに北口から甲州街道を渡ったところにあるのが「笹塚十号通り商店街」、その先に「笹塚十号坂商店街」と続きます。地域に根差した商店街で、下町風情が漂うアットホームさが魅力です。
また笹塚のアイコン的な存在なのが「笹塚ボウル」。小説『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』にも登場したボーリング場ですが、最近はおしゃれな飲食店や「笹塚ボウル」がプロデュースするスポーツジムが誕生。若者や地域住民が集まる「笹塚で最もアツいスポット」として、メディアでもたびたび紹介されています。
では「笹塚」駅周辺の居住性をみていきましょう。まずは駅周辺の家賃相場です。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は9.28万円、11分を超えると、6.27万円という水準です(図表1)。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。
家賃相場から考えると、「笹塚」は駅から徒歩11分以上離れたエリアであれば会社員でも適正家賃の物件がみつかるエリアです。「笹塚」があるのは渋谷区で、「新宿」から1駅という利便性から考えると、高い家賃相場も頷けます。「駅チカ」の利便性を享受するには、少々ハードルの高い街だといえるでしょう。
高級志向から庶民派まで…買い物スポットは充実
次に交通の利便性をみてみましょう。「笹塚」駅は、京王線利用で5分。さらに都営新宿線直通で「市ヶ谷」へは14分、「神保町」19分と、都心へのアクセスも良好です(所要時間は平日8時に「笹塚」駅を出発した場合の目安)。また平日の通勤時間帯には3~4分ごとに電車が出発し、電車を待つストレスはほぼありません。
「笹塚」駅周辺には、高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」や「成城石井」、激安で知られる「業務スーパー」まで、スーパーマーケットのバリエーションが豊富です。深夜まで営業しているスーパーもあり、残業が続くようなときでも安心です。また前述のとおり商店街が充実しているエリアなので、最寄り品はほぼ駅周辺で揃えることができます。
さらに多彩なジャンルの飲食店が、商店街やショッピングモールに並びます。単身者でも立ち寄りやすいチェーン店も豊富なので、お店選びに困ることはないでしょう。
「笹塚」は、商業地が集積する駅周辺と、住宅地がしっかりとわかれているエリアです。駅に並行するように甲州街道が走り、その一本先に入ると、閑静な住宅街が広がります。幹線道路沿いは騒がしいですが、そこを避ければ静かな住環境で、比較的住みやすいエリアといえます。
また高級志向の店もありますが、多くが庶民派。買い物に困ることはありません。ただし家賃水準は交通、生活、双方の利便性の高さから、駅周辺は会社員の適正家賃を大きく超えてしまう街です。