4月第2週は市場関係者の見方とは異なり、強い基調となりました。しかし、先行きへの期待で長期投資家の資金が入っているというより、日銀のETF買いへの思惑などで短期資金が入っているという印象です。この流れは続くのでしょうか。

4月になって日銀がETF買いを増やしているもよう

4月第2週(4月6日~10日)の東京株式市場では、日経平均株価は堅調に推移しました。6日(月)~8日(水)と続伸し、週末10日(金)も3ケタの上昇です。9日(木)は下げたものの小幅安にとどまっており、基調は強いと言えるでしょう。週間ベースでは1,678.31円の上昇となりました。

 

ただ、終値ベースでみると大きな上昇となっていますが、1日の中でみると値動きが荒く、不安定な相場になっています。

 

新型コロナウイルス関連の悪材料はおおむね織り込まれたとみられていますが、そうは言っても織り込み切れていない材料があるのではとの懸念は根強く、中長期スパンでの投資を想定した資金が入っていないためとの指摘が聞かれます。

 

短期(超短期)取引の個人投資家、投機筋による売買がほとんどで、年金や投信といった機関投資家の資金はむしろ逃げ出しているとの見方もあり、株価が上昇する場面では戻り待ちの売りも出やすくなっているようです。

 

4月第2週の日経平均株価は、週間ベースで1,678.31円の上昇となった。
4月第2週の日経平均株価は、週間ベースで1,678.31円の上昇となった。

 

もう1つ、日本銀行による買い支えに対する思惑も、日本株が不安定な値動きになっている背景にあります。日銀は3月16日に開いた金融政策決定会合で、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化を食い止めるため、3年半ぶりの追加の金融緩和を決めました。

 

これは個別の銘柄ではなく、多くの株式をまとめてつくる金融商品「ETF(上場投資信託)」などを買い入れるというものです。その金額を2倍に増やし、金融市場への資金供給を増やす方針です。具体的な買い入れのタイミングなど詳細は不明ですが、午前中のマーケットをみて大きく下落していれば、後場になって日銀によるETF買いが入るというのが、多くの金融関係者の見方です。

 

4月10日(金)の値動きがその典型で、午前中の取引では大きく下落する場面がありましたが、日銀のETF買いへの期待で安いところでは値ごろ感からの買いが入り始めて、後場になると上げ幅を広げました。実際に日銀による買いが入ったか否かはわかりませんが、この環境下で、おそらく入るだろうといった見方が強いのでしょう。

 

4月に入って、日銀がETFやJ-REIT(不動産投資信託)を連日で大量に買い入れているとの報道があることも、そのような見方を強めているものと考えられます。

日経平均は20,000円を前に高値警戒感が出てきそう

4月第3週(13日~17日)の日経平均株価は、じり高の展開になると考えられます。

 

まず、証券会社のレポートなどで注目企業として挙げられていた安川電機の決算が4月10日に発表されましたが、解釈が難しいものとなりました。終わった2020年2月期の連結営業利益は前年比55.1%減となり、これはこれでネガティブなのですが、新たに始まった2021年2月期の通期業績予想の開示が見送られ、良い印象はありません。

 

それでも、第1四半期(3~5月期)業績予想を、連結営業利益で40億円と公表した点は好感できます。「中国のサプライチェーンの正常化に加え、半導体・電子部品市場を中心にACサーボの受注回復が見られている」とコメントしています。まったく開示しないのではなく、向こう3カ月程度ならば見通しがつくとして数字を出してきたのでしょうが、週明け13日(月)のマーケットがどう判断するのか、これによって1週間の全体相場の方向性が決まりそうです、

 

なお、安川電機の想定為替レートは1ドル107円、1ユーロ118円とされました。これから3月期企業の決算発表も出てきますが、このレートが他の企業にとって、1つの目安になりそうです。

 

日経平均株価・日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
日経平均株価・日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

また、「緊急事態宣言」を受け、どの業種、業態に自粛要請を行うのかが注目されていましたが、事前報道の範囲内に着地した点は安心材料です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止という観点では、東京都の案が望ましいのでしょう。これに対して、政府は経済全体への悪影響を懸念し、他の6府県は補償に対する負担で難色を示していましたが、東京都の「厳しい案」ではなく、いわば「軟着陸」で決着しました。

 

以上から、目先の注目イベントは無難に通過し、4月第3週は決算、経済統計など個々の材料に神経質に反応していく展開になる可能性があります。ただし、前の週に大きく株高が進んだことから、節目の20,000円を前に高値警戒感も出てくるタイミングです。週間ベースでは小幅高にとどまると思われます。

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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