日本政府から「緊急事態宣言」が正式に出されましたが、事前の報道通りであって特にサプライズはないとの見方が多いようです。目先の注目イベントを通過し、投資家の関心はシーズン本格化を迎える企業決算に移りますが、新型コロナウイルスの影響は、やはり気になります。ポイントはどのようなことでしょうか。

「緊急事態宣言」後の日本株は不安定な値動き

新型コロナウイルスの感染拡大で日本政府が4月7日(火)夕方、「緊急事態宣言」を行って初めて迎えた本日の東京株式市場ですが、不安定な値動きとなっています。日経平均株価は朝方に3ケタの上げ幅となったものの、今度は一転して3ケタの下げ幅を記録。その後、再びプラス圏に浮上しています。いわゆる「気迷い相場」です。

 

7日の19時から安倍首相が記者会見を行い、その後はNHKのニュース番組に出演して今回の宣言についていろいろと述べていましたが、サプライズはなく、事前の報道通りとの見方が優勢のようです。

 

ただ、事業規模108兆円の緊急経済対策については、見た目の事業規模は大きいものの、いわゆる「真水」の部分が30億円~40億円程度で足りないとの指摘は多く聞かれます。「真水」の部分とは、政治家や記者がよく使う表現で、実際に経済生産を押し上げる効果のある予算のことです。一般的に、政府が直接的な支出を行う部分を指します。

 

したがって、新型コロナの影響を受けた人(企業)の救済措置の側面が強く、景気後退に対応した景気浮揚があまり考慮されていないとの見方で、市場へのインパクトは特にないとの話が聞かれます。

 

目先の注目イベントであった「緊急事態宣言」を通過し、投資家の目線はいよいよ2月期企業、そして、4月下旬から始まる3月期企業の本決算に向かうと思われます。

決算シーズン到来で、投資家の関心は企業業績へ

決算シーズンが到来しますが、今年は新型コロナウイルスの影響が(1)どう出たのか、(2)これからどう出ると会社側がみているのか、この2点が最大の注目点です。

 

この点で、6日(月)から始まっている2月期企業の決算では、新型コロナウイルスの騒動はいずれ終息し、年後半から経済が持ち直すとみる企業は少なくなく、安心感があります。

 

とりわけ、6日(月)の取引時間終了後に発表された、国内家具最大手ニトリホールディングスの決算は衝撃でした。終わった2020年2月期は増収増益で、営業利益は前の期比6.6%増となり、新たに始まった2021年2月期も強気の見通しです。この状況でも、増収増益かつ増配の計画を示したうえで、似鳥昭雄会長は「不況こそチャンス」と発言しました。

 

ニトリの2021年2月期業績は増収増益の計画。マーケットに衝撃を与えた。
ニトリの2021年2月期業績は増収増益の計画。マーケットに衝撃を与えた。

 

製造業に関しては上記の2つのほかに、(3)想定為替レートをどこに置いてくるか、(4)そもそもとして新年度の会社計画を開示するのか、という2点も注目です。

 

2020年3月期では、自動車最大手のトヨタ自動車は、想定為替レートを対米ドルで108円に置いていました。今回、2021年3月期について、これよりも円高方向にするのか、円安方向にするのか、アナリストの間でも見方が割れているようです。

 

また、すでに5月期、8月期といった銘柄では、通期の業績予想を「未定」として取り下げる企業が見受けられます。レジャー、小売、サービス(外食)業種では仕方のないところですが、製造業で、とりわけ大企業で通期計画を「非開示」とするところが出てくれば、それは不透明要因となります。投資家のマインドが下向きになるリスクがあり、要注意です。

 

例年のことですが、製造業の中で決算の先陣を切る、安川電機に注目です。週末の4月10日(金)に予定されており、ここで決算シーズン本格化に向けての「マーケットの目線」が定まってくるでしょう。

 

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