ノルマに追い込まれ、「思考停止」の銀行マン
【目を覆いたくなるような実態が明らかに】
他行を圧倒する業績を上げていた地銀の雄、スルガ銀行。しかしかぼちゃの馬車関連の融資をきっかけになされた第三者委員会調査報告書によって、過酷なノルマとそれを達成するためになされた融資関連書類の偽造、キックバック、パワハラなど目を覆うような内容が明らかとなった[関連画像]。
【解説】ノルマに追い込まれ、思考停止の銀行マン 不動産業界を揺るがしたクソ中のクソ
わしは当初、なんで貸したお金焦げ付くのにばんばんスルガがローン出したのか、その動機がピンと来んかった。せやけど、どエンド君がうまいこと言うとったわ。
〝スルガ銀行が最後に大損するとわかっていながら、クソ物件に貸しこんだのはなぜか…という根本的な疑問がずっとあったのですが、会社に損害を与え、顧客を危険にさらし、不法行為に手を染めながら、刹那的なノルマを消化しつづけるのに特に理由はいらなかったし、理由を考える暇もなかったですね。〟
達成不可能なノルマを課して詰めまくったら、誇り高き銀行員でも思考停止して眼の前のノルマから逃れることしか考えられへんようになるっちゅうことやな。
大学出た賢い人ばっかりや。自分のやっとることがどんだけ不正か、ようわかっとったはずや。それでも我が身を守るためにはしゃあない。不正を続けるしかなかった。そういう立場に追い込んだ経営陣はたしかに追放された。しかしやな、その経営陣をしばきまわしていた創業家一族は経営から退いたけどのうのう暮らしとる。そいつらにかぼちゃの馬車で破産したサラリーマンの怨嗟の声は届かない。どうや? 不動産の侘び寂び感じるやろう?
事実上の債務者封じ込めともいえる「確認書」の存在
【どーなる?】不正と認識しつつも用意周到なスルガ銀行に勝てるのだろうか?
過酷なノルマに追われたスルガ銀行の行員たちは、チャネルと呼ばれる不動産業者とともに口座残高など融資の前提となる書類の偽造に手を染め、自らの銀行の審査部を欺き、いずれは破綻すると知りながらかぼちゃの馬車やその他の収益不動産にローンを貸し出した。
そしてその結果多額のローンが焦げ付き、創業家、経営陣は退陣に追い込まれ、金融庁からは業務停止命令が出され、かつて地銀の優等生と褒め称えられたスルガ銀行は単独での再建を断念しスポンサーを探索する状況に陥っている。
スルガ銀行の問題を受けて、投資用不動産への融資が大幅に引き締められた。スルガ銀行からお金を借りて不動産投資を行った債務者の一部はスルガ銀行と協議の上、金利の減免、返済期間の延長など、ローンの条件を緩和した上で返済を続けている。また一部には、銀行員自らが不正に手を染めたのだから、銀行に物件を差し出す変わりに借金は帳消しにしろと、弁護団とともにいわゆる「代物弁済」主張する債務者も存在している。
しかしながら2013年以降、スルガ銀行サイドは金銭消費貸借契約とともに債務者から次のような文言の「確認書」を徴収するほど用意周到であった。
〝本物件の売買契約の締結に際して、不動産業者等より法令とおよび公序良俗に反するような違法または不当な勧誘等を受けていないこと、ならびに本物件の売買契約の締結が、私どもの自由で明確な不動産購入意思に基づき行われること〟
おそらくは、当時より自らの不正を認識していたスルガ銀行に対して、債務者が主張する結果を勝ち取る見込みは極めて低い。
【こんなクソに気をつけろ‼】
・預金通帳はペイントで増えません
・「確認書」にハンコを押してはいけません
・銀行員を見たら泥棒と思いましょう
※ 本記事は、書籍『クソ物件オブザイヤー』(KKベストセラーズ)より一部を抜粋、再編集したものです。
全宅ツイ