「お家賃30年保証」おいしい話の行く末は!?
西新宿社長(@jpnbeehive)のツイート
シェアハウス…1万室 入居率…30%
融資総額…2,000億円 表面利回り…8%
第三者委員会調査報告書…338ページ
スルガ銀の株価…▲2,000円
駆け抜けた馬車の思い出…プライスレス
お金で買えない価値がある。買えるものはぜーんぶクソ物件。不動産つらい。 #クソ物件オブザイヤー
【サラリーマン投資家がハマった甘い罠】
スマートデイズがサブリースによる賃料保証をうたい、上京する女性のためのシェアハウスを不動産投資用の商品としてサラリーマン投資家に販売。
周辺相場を無視した賃料水準によるサブリースは破綻を前提としたもので、高値でシェアハウスを投資家に押し込んで膨大な利益を得た後、スマートデイズは賃料の支払いをストップし、破産した。
【解説】かぼちゃの馬車が轢き逃げしたのはいったい誰の欲のせい?
「今の会社の給料とは別に、100万円入ってきたらいいと思いませんか?」
そう囁かれた年収800万円くらいのサラリーマンがベッキーと一緒に飛び乗ったかぼちゃの馬車。地方に住む女性を敷金礼金0で東京近郊4畳のシェアハウスにお仕事の斡旋付きでブチ込んで、間抜けなかぼちゃの馬車オーナーに埼玉県草加市で約束したサブリース賃料は、渋谷区恵比寿のそれより高かった。
しかし、現地見ない、周辺相場調べない、いくら誰に払ったか今も自分でわからない、イカしたかぼちゃの馬車オーナーがそれらに気づくこともなく、気がつけば700人以上のサラリーマン投資家を轢き逃げして、かぼちゃの馬車が売り上げたお金は1000億円超!
かぼちゃの馬車へ多くの融資を行い結果的に創業家の退任と他資本の導入まで招いてしまったスルガ銀行。その日本橋支店前で借金帳消しを叫ぶ哀れなかぼちゃの馬車オーナー。かぼちゃの馬車運営会社「スマートデイズ」をそれと知らずに買収して、サブリース賃料を停止されたかぼちゃの馬車オーナーからの怒号を浴びるスマートデイズ新社長。そして、たくさんの屍を見て暗闇でほくそ笑むすべての黒幕の男…。
「見ないで買う」のやばさに気づかなかったのか
【ナゼ?】サブリースの仕組を知らず、現地も見ずに投資すると…
サブリース契約の問題点は、そもそも賃料保証に限らず、30年先までの約束が守られると考えるほうがおかしい。
さらにサブリース契約は貸主(素人)、借主(サブリース業者すなわち不動産のプロ)との間で締結されるが、借地借家法では借主の保護が強く規定されているので、不動産の素人の貸主が借地借家法を味方につけたプロの借主と賃料減額や契約解除について争うハメに。
サブリース業者が併せて建物の新築を請け負う場合や建物の売主である場合は、相場よりも高い賃料の保証をとりあえず約束し、その賃料に基づいて収益還元法で算出された(割高な)価格で建物工事を請け負って(あるいは建物を売って)、まず先に大きな利益を得る。その後、例えばサブリース開始から2年後に保証賃料を引き下げるか、引き下げてくれないとサブリースを止めるという作戦をとれば、2年間の割高なサブリース賃料と周辺相場賃料の差の分の損失(それは最初に確保した利益からみると微々たるものです)だけで、新築時の(あるいは売却時の)大きな利益を得ることができるってわけ。
一方、投資家サイドの落ち度は現地を見なかったことにある。
今回かぼちゃの馬車で損失を被った投資家の多くが物件や現地を見ないで投資を決定したらしいが、これは不動産業界の人間から見るとありえない。買うものを見ないで買うのは他の業界でも稀なケースであろう。物件の価格や賃料と現地の雰囲気のミスマッチ、違和感を少なくとも現地に行けば感じ取れたはずだ。
そしてSUUMOやat homeなどの誰でも見ることができる賃貸物件のサイトで、かぼちゃの馬車の周辺の賃料相場を調べれば、その大きな乖離に素人だって気づいたはず。(足立区の駅徒歩圏から外れたシェアハウスが恵比寿のRCのワンルームと同じ賃料だと気づいたら、あなたは投資しましたか?)
フルローンで自己資金なし、買ったらあとは〝おまかせ〟で毎月数10万円のキャッシュフローが得られるおいしい話が、特に資産があったり不動産業界にコネクションのあるわけではない普通のサラリーマンな自分のところに、向こうからやってきた時点であやしいと思うセンスがなかったんでしょうね。
【こんなクソに気をつけろ‼】
・買うもの見ないで買わんこと
・向こうからやってくる話においしいもんはない
・30年も先までの賃料保証があるわけない
※ 本記事は、書籍『クソ物件オブザイヤー』(KKベストセラーズ)より一部を抜粋、再編集したものです。
全宅ツイ