抜けぬなら 開発止めよう 大将軍

モノレールがビルを貫く形の特異な形の高尾アパート(大将軍駅)が解体され再開発される事になったが杭が抜けない事が発覚。JR姫路駅至近の好立地でありながら観光バス駐車場くらいにしか使えないという結果に。#クソ物件オブザイヤー

 

クソ物件
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【どんなストーリー?】

 

1966年に「姫路博覧会」会場と国鉄「姫路」駅を結ぶ全長1.6kmのモノレールが開通。モノレール自体は8年という短い期間で営業を停止したが、その橋脚や駅舎は巨額の費用を理由に解体がなされず長く現存していた。その駅舎の一つ「大将軍」駅を姫路市が解体し、新たに建物を建設しようとしたところ、旧駅舎の杭が抜けないことが判明し、中止に。

 

【全宅ツイメンバーの解説】ビルの解体、建て直しを繰り返してたら世の中、杭だらけになってしまうかも!?

 

わしは仕事でビルやマンションを建てとる。その時にいつも問題になるんが、元々その土地に建っとった建物の杭をどうするかいうことや。新しく建てる建物も、もちろん杭を地中に打ち込まなあかん。こういう時は元あった杭を地面から引っこ抜くか、新しく建てる建物の杭を今埋まっとる杭を避けて打ち込むかのどっちかや。

 

新しく建てる建物の構造上どうしても今埋まっとる杭を避けた場所に新しい杭を打つ設計ができん場合もある。今回の大将軍駅はそのパターンやな。ほな杭抜いてまえってなるんやけど、大将軍駅の場合、本来まっすぐ地中に埋められているH鋼いう鉄骨の杭が長年の駅舎の重みで地中で曲がってしまって、現実的な工法では引き抜けなかったんや。こらもうしゃあないわな。

 

ところでな、前にあった建物の杭を避けて新しい杭を打つ方法の場合な、前の杭は新しい建物の地中にずっと残るんや。ほんでわしはいつも思うんや。わしがビル建てる前に建っとったビルの杭を避けて打った杭の上にわしが建てたビル、このビルをまた解体してビル建てる誰かが杭打ったら、もう世の中の地面の中、杭だらけになるんとちがんやろうかと。

街に残された廃線跡が語るモノレール大プロジェクト

昭和のとある時期だけ、姫路市内を走っていたモノレール。高層ビルの内部にプラットホームのあるユニークな駅は今、どうなっているのだろうか。

 

姫路モノレールは1966年、JR姫路駅から「姫路大博覧会」会場の手柄山駅までを結ぶアクセス手段として造られた。最終的には鳥取県まで延伸する構想も練られていたという。

 

しかし、博覧会終了後は利用者が激減。わずか8年後の1974年に休止、1989年に廃止となった。廃止後、一部のモノレール桁こそ撤去されたが、橋脚はほとんどが残存。中でも高尾アパートは、3・4階に「大将軍駅」があるユニークな建物として一部マニアの間で注目を集めた。しかしこのビルも、2016年に耐震上の理由から解体され、更地になっている。

 

現地を訪れたところ、周囲はフェンスで厳重にガードされ、中に入ることはできなかった。廃線跡はすべて撤去されたのだろうか。と思いきや、そんな心配は必要なかった。

 

大将軍駅を中心に、橋脚の下側を取り囲むようにして民家が整備され、今も暮らしの中に当時の記憶が色濃く残されている。民家から生え出る不自然なコンクリート棒こそ、モノレールを支えた橋脚なのだ。

 

【真相を追跡!】失敗に終わった大構想も地元民の前向きな思い出に

 

手柄山方面に歩く。道路を挟んで反対側は、途切れたレールがまだそのまま残る。近づくとレールは緑に覆われており、ここだけ異世界だ。畑から伸びたツタが長い年月をかけて覆いつくしたのだろう。レールは、山陽新幹線の手前で途切れていた。高架をくぐって終着地点の「手柄山交流ステーション」へ。現在、ホームがあった場所にモノレール車両が展示されている。

 

「このモノレール、おじいちゃんが若かった頃、市内を走ってたんだよ」と自慢げに語る男性。車両に乗って仲睦まじく記念撮影するファミリー。そして「すごい」と満面の笑みを見せる子供たち…。姫路モノレールは地元民にとって“負の遺産”ではなく、“希望の乗り物”として語り継がれているのだと、胸が熱くなるのであった。

 

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※ 本記事は、書籍『クソ物件オブザイヤー』(KKベストセラーズ)より一部を抜粋、再編集したものです。

 

 

全宅ツイ

 

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