4月1日より、改正健康増進法が施行します。これによって、国内のほとんどの屋内店舗では「原則禁煙」となります。影響については今後の動向をみていかなければなりませんが、市場関係者の思惑で動意づいている銘柄もあるようです。それは、どのようなところでしょうか。

4月より改正健康増進法が施行する

新型コロナウイルスの影響によって自宅で食事をとる人が増え、足もとでは外食産業は厳しい経営状況となっています。3月になってテレワークやリモートワークをしている会社員・従業員は日々増えているとの報道があり、事業環境は向かい風と言えます。

 

実際のところ、外食の回数が減ったという方は少なくないかもしれません。そのような中で、3月中旬あたりから居酒屋などでよく見かける張り紙が「4月1日より全面禁煙になります」です。

 

4月1日より、改正健康増進法が施行します。これにより、国内のほとんどの屋内店舗では「原則禁煙」となり、喫煙できる場所が減少します。一部の自治体ではすでに「〇〇県内は原則全面禁煙」と先行して行っていましたが、全国へと拡大するのです。

 

「全面禁煙」はバーやスナックにはマイナスの影響があるとの指摘も聞かれる。
「全面禁煙」はバーやスナックにはマイナスの影響があるとの指摘も聞かれる。

 

飲食店舗の経営者には、新型コロナで来客が激減しているところに、「原則禁煙」でダブルパンチと考えている人は少なくありません。

 

北海道のような喫煙率の高いところでは、客離れの可能性が高いとの見方をする調査会社もあるようです。北海道内のメディアの調査でも、他の都府県に比べると、マイナス影響が多いと答える企業の割合は高いようです。

 

また、居酒屋でもテーブル席のあるチェーン店は禁煙の方がよいかもしれないが、バーやスナックにはマイナスの影響があるとの指摘も聞かれます。

 

3月30日のNHKニュースでは、「金の蔵」や「月の雫」といったブランド名で店舗を展開する三光マーケティングフーズの関係者から「お酒とたばこは切っても切り離せないというお客さんもいます。新型コロナウイルスで客足が遠のくなか、愛煙家の客まで減ってしまうと厳しいが、これをきっかけに家族連れや女性客などが増えてくれればと思う」とのコメントが伝えられていました。若い世代を中心に居酒屋離れが進む中、コロナでただでさえ厳しいのに、愛煙家も失う可能性があることに不安を感じるのは、多くの外食関係者が思うことでしょう。

企業には設備の費用負担に対する懸念が多い

ただし、全国的に見れば「影響はあまりない」と考える企業が多いという調査結果もあります。

 

帝国データバンクではこのほど、「企業における喫煙に関する意識調査(2020年)」の結果を公表しました。

 

4月に予定されている改正法や条例の施行によって、自社の業績にどのような影響があるかたずねたところ、「マイナスの影響がある」は 12.9%、「プラスの影響がある」は 2.0%で、「影響はない」は 56.4%と半数超になりました。

 

「マイナスの影響がある」企業を業種別にみると、「旅館・ホテル」が 39.3%でトップとなりました。次いで、「飲食店」(36.2%)や「娯楽サービス」(35.1%)などのサービス業、「飲食料品小売」(28.1%)といった小売業など、顧客と接する機会の多い個人向けの業種が上位に並んでいます。

 

[出典]帝国データバンク
[出典]帝国データバンク

 

この調査では、「影響はない」が半数超である点に特に記述はありませんでしたが、「フタを開けなければわからない」との見方であると推測できそうです。今後、この割合がどう変わるのか、注目したいところです。

 

なお、同調査によれば「今まで対策していないこともあり、その分費用がより多くかかるので業績には影響がある」のように、設備の費用負担に対する懸念が多くあるようです。各報道でも、分煙はしたいが、空気清浄機や換気扇の設置など投資がかさむ点を嫌気する店舗は多いと伝えられています。

分煙機を販売するダスキンの株価急反発が目立つ

さて、改正健康増進法の施行で注目すべき銘柄はあるのでしょうか。

 

新型コロナウイルスのショックで多くの銘柄が急落し、その後も値を戻せずに苦戦している中、ダスキンの株価が堅調に推移しています。

 

ダスキン(4665)日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
ダスキン(4665)日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

やはり新型コロナの影響で、株価は3,000円から2,200円の水準へと2割も急落しましたが、下げた分をほとんど取り戻しています。

 

もともと、ミスタードーナツで使える食事券を株主優待でもらえるため、個人投資家に人気と高い銘柄でした。業績をけん引している清掃関連よりも、足を引っ張っている飲食関連への期待で株価が下支えされているという「いびつ」な感じでしたが、ここにきて清掃関連への注目がグッと上がってきています。

 

ダスキンは分煙機の販売や業務用フィルターのレンタルを行っています。会社側からは、改正健康増進法の施行に関して特にアナウンスやコメントは特に出ていないようです。それでも、すでに清掃用具を納入している店舗だけでなく、新規顧客の開拓も進むとの思惑がマーケットに広がっており、これが株価を押し上げています。

 

このほかに、間仕切り国内シェアトップクラスで分煙ルームを手がけているコマニー、「禁煙パイポ」でおなじみのマルマンなども注目企業として挙げられそうです。

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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